藤井七段が王位リーグ入り、本田新五段が棋王挑戦者に、渡辺三冠がA級順位戦トップ独走など、12月下旬の注目対局を格言で振り返る

藤井七段が王位リーグ入り、本田新五段が棋王挑戦者に、渡辺三冠がA級順位戦トップ独走など、12月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2020年01月08日

若手対決となった棋王戦の挑戦者決定戦は本田奎四段が挑戦権を獲得。1期目の参加で挑戦は史上初の快挙です。圧倒的な強さを見せている渡辺明三冠を相手にどのような戦いを見せるでしょうか。

第45期棋王戦挑戦者決定戦第2局

【第1図は▲5八玉まで】

第1図は第45期棋王戦挑戦者決定戦第2局(▲佐々木大地五段△本田奎四段)。第1局を佐々木五段が勝って迎えた第2局。相掛かりから馬を作った後手が形勢をリード。図は▲5八玉と「玉の早逃げ」で粘ろうとしている局面です。ここで△6一香が「下段の香に力あり」です。6筋の制空権を握る、香の最も効果的な使い方で差をさらに広げました。以下▲7五銀△7四歩▲5五角△6四歩と先手の駒を目標にして快勝となりました。本田四段はタイトル挑戦により五段に昇段しています。

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初出場棋戦で番勝負への出場を決めた本田新五段 棋王戦中継ブログより

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佐々木五段も粘りを見せた 棋王戦中継ブログより

第78期A級順位戦6回戦

【第2図は△6六同歩まで】

第2図は第78期A級順位戦6回戦(▲渡辺明三冠△広瀬章人八段)。ここまで渡辺三冠が5連勝、広瀬八段が4勝1敗と挑戦権争いを左右する一番です。ここで▲3二とは駒がそっぽに行ってしまうためいけません。▲5五金が「寄せは俗手で」の確実な攻め。角を取れれば手順に後手玉も薄くできるため、寄せも早くなります。実戦は△5五同角▲同飛に△6四銀と埋めましたが、▲5一角が入って寄せが見えてきました。以下は押し切って渡辺三冠が6連勝と独走態勢に入っています。

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無敗キープの渡辺三冠 名人戦棋譜速報より

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広瀬八段 名人戦棋譜速報より

棋士編入試験第2局

【第3図は▲5七銀まで】

第3図は折田翔吾アマの棋士編入試験第2局(▲折田翔吾アマ△出口若武四段)。後手のみ角を手持ちにしており、持ち歩も多く不満のない局面です。ここからどのように差を広げるか。実戦は△4二玉▲8五歩△3一玉▲5四歩△同歩▲7五歩△同飛▲8六角△7四飛▲6五歩△2二玉と進行。バランスの良い陣形が重要視されることもある昨今ですが、やはり「玉の守りは金銀3枚」と言われるように、堅陣に囲えれば安心感があります。後手は堅陣に囲ってから存分に攻めて快勝。編入試験は1勝1敗となりました。

第33期竜王戦ランキング戦

【第4図は▲7四飛まで】

第4図は第33期竜王戦ランキング戦1組(▲渡辺明三冠△佐藤和俊七段)。図では△8八歩成も見えますが、元々駒損なので1枚取り返してもそこまでの効果はありません。△4五桂が「遊び駒は活用せよ」の気持ち良い跳躍。次に△5六桂からの詰みを狙っていて、非常に厳しい手です。実戦は▲7七銀と受けましたが、△5七桂成▲同金△5六桂から攻めをつなぎ、後手が競り勝ちました。絶好調の渡辺三冠でしたが、ここは初戦敗退で5位決定戦に回りました。

第61期王位戦予選

【第5図は△4九角まで】

第5図は第61期王位戦予選(▲藤井聡太七段△出口若武四段)。図の△4九角で見事に飛車銀両取りが掛かっています。受ける術はなく先手が困っていそうですが、当然藤井七段の読み筋で素晴らしい切り返しを用意していました。実戦は▲7一飛が「両取り逃げるべからず」の好手。△7六角成に▲2一飛成が駒損ながら後手玉に迫る手で一手勝ちコースに入っています。藤井七段は続く予選決勝にも勝ち、初の王位リーグ入りを決めています。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生六段

棋士・六段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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