本田五段・佐々木五段が王位リーグ入り、大阪王将杯王将戦七番勝負第1局は渡辺王将が先勝など、1月上旬の注目対局を格言で振り返る

本田五段・佐々木五段が王位リーグ入り、大阪王将杯王将戦七番勝負第1局は渡辺王将が先勝など、1月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2020年01月20日

2020年が始まりました。今年も豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠が主役となるか、はたまた新世代が台頭するか、注目の一年です。

第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第1局

【第1図は△8三金まで】

第1図は第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第1局(▲渡辺明王将△広瀬章人八段)。先手が矢倉を目指し、後手は急戦に出ました。図は▲8五桂に△8三金とかわしたところ。ここから▲7四歩△同金▲7五歩で攻めがつながりました。「金は斜めに誘え」で、斜め後ろに下がれない金の弱点が出ています。以下△8五金▲同歩△7六桂▲同金で先手玉周辺は手厚く攻めに専念できる格好です。以下は渡辺王将が押し切って開幕戦勝利をあげています。

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初戦を制した渡辺王将 王将戦中継ブログより

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広瀬八段 王将戦中継ブログより

第78期A級順位戦7回戦

【第2図は▲7七金上まで】

第2図は第78期A級順位戦 7回戦(▲稲葉陽八段△渡辺明三冠)。相居飛車から、後手が居玉のまま猛攻を仕掛けました。図で△8六歩が「と金の遅早」で確実な攻めです。次に△8七歩成と2枚目のと金を作れればより攻めが手厚くなりますし、▲8六同金も△6四香が痛打となります。実戦は▲7五歩△同飛▲7六金直と非常手段に出たものの、△同飛▲同金△4九馬が厳しく後手勝勢です。渡辺三冠は7連勝で早くもプレーオフ以上を確定させました。

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名人戦棋譜速報より

第5期叡王戦 本戦トーナメント

【第3図は△9五歩まで】

第3図は第5期叡王戦本戦(▲渡辺明三冠△広瀬章人八段)。後手の穴熊は深そうに見えますが、ここで▲3三歩が「一歩千金」。△3三同桂と応じれば清算して後手の穴熊が崩壊します。実戦は△3一金とかわしましたが、▲3二銀△同金上▲同歩成△同金に▲3三角が王手を掛かりやすくする強打で先手の勝ち筋に入りました。渡辺三冠はこれでベスト4。反対の山では豊島竜王・名人も勝ち上がっており、実力者が残っています。

第61期王位戦 予選決勝

【第4図は△4四歩まで】

第4図は第61期王位戦予選決勝(▲本田奎五段△宮田敦史七段)。先手優勢であとはどう決めるかという局面。▲8三角が「要の金を狙え」で、次に▲5四飛△同歩▲5三歩を狙っています。実戦は△4二金と受けたものの、▲5四飛△同歩▲2一飛が痛打で後手の投了となりました。本田五段は王位戦も初参加でリーグ入り。棋王戦に続いて旋風を巻き起こすでしょうか。

第61期王位戦 予選決勝

【第5図は△8八角成まで】

続いて第5図も王位戦予選決勝(▲佐々木大地五段△渡辺明三冠)。先手玉はまだ詰まないので、どう後手玉を寄せるか。ここから▲4一銀△4二玉▲4五桂が「玉は包むように寄せよ」で後手玉は受けなしです。佐々木五段は大敵を下し3期連続のリーグ入りとなりました。すでに予選通過を決めている藤井聡太七段と合わせ、本田五段、佐々木五段と若い力が楽しみな挑戦者決定リーグです。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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