里見、2年連続の挑戦を跳ね返す

里見、2年連続の挑戦を跳ね返す

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年01月16日

 里見香奈女流王座に加藤桃子女流四段が挑戦したリコー杯第13期女流王座戦五番勝負。両者が女流王座戦五番勝負を戦うのは2年連続5回目となる。

リコー杯第13期女流王座戦五番勝負第1局

 第1局は東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて。里見の先手中飛車に加藤は左美濃。加藤がペースをつかみ、そのまま勝ち切るかに思えたが......。

【第1図は▲1九飛まで】

 図は△4四角打と重ねた手に▲1九飛と必死の防戦だ。以下△2三銀▲4七銀△1七角成▲同飛△同角成▲同玉△1五香と激しく踏み込む。しかし、簡単には決まらず最後は里見の粘りに屈した。△1五香では△3七銀不成▲同金△2四桂と攻めた方が先手は粘るのが難しかったようだ。

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写真:紋蛇

リコー杯第13期女流王座戦五番勝負第2局

 第2局は宮城県仙台市「懐石料理 東洋館」にて。中飛車から後手の里見は飛車先交換を受けない工夫を見せる。戦いは早く始まるが、形勢が揺れ動く大熱戦となった。

【第2図は▲9六香まで】

 第2図の▲9六香は厳しい一手で、△8五歩なら▲9三歩成△同桂▲9四歩で受けが難しくなる。桂を取れないのはつらいが、△8二玉と早逃げで辛抱し、▲1七角にも△7九と▲同銀△2六角と耐え続ける。先手も正確に決めるのは難しかったようで、第1局に続き里見が粘り勝ちで2連勝となった。

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写真:文

リコー杯第13期女流王座戦五番勝負第3局

 第3局は山形県天童市「天童ホテル」にて。中飛車対居飛車穴熊の持久戦から里見が激しい順に踏み込んでいくが、さすがに無理筋で加藤に形勢が傾く。丁寧に受けてようやく居飛車にも反撃の余裕が回った。

【第3図は▲8一飛成まで】

 後手は手駒が豊富だが、穴熊が薄いのが怖いところ。しかしここで△8四角が狙いすました一撃。▲2九玉とかわすのは△4七竜▲同銀に△2八銀▲同玉△3七金▲同玉△2五桂から詰んでしまう。よって▲7五桂と受けたが、これで先手は攻め駒不足。△3二金と埋めて後手の穴熊は手が付かない形になり、後手勝勢がはっきりした。加藤が1勝を返して第4局へ。

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写真:常盤秀樹

リコー杯第13期女流王座戦五番勝負第4局

 第4局は東京都渋谷区「将棋会館」にて。超速▲3七銀の銀対抗から持久戦へ。加藤が金損になるが、駒の働きと穴熊の遠さで形勢は意外に大変となる。

【第4図は△6七金まで】

 ここは▲6七同金△同角成に▲3五角と好所に飛び出せばまだまだ大変だったようだ。実戦は単に▲3五角と出たため、△6八金▲同銀に△7八金が痛打となり、先手玉はいきなり受けが難しくなってしまった。

 第1局、第2局と苦しい将棋を粘って競り勝った里見が3勝1敗で防衛を果たし、女流四冠を堅持した。

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写真:常盤秀樹

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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