チーム糸谷VSエントリーチーム ABEMAトーナメント2023~Dリーグ第三試合振り返り~

チーム糸谷VSエントリーチーム ABEMAトーナメント2023~Dリーグ第三試合振り返り~

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年07月07日

 7月1日(土)に放映された予選Dリーグ第3試合のチーム糸谷「鉄拳流」(糸谷哲郎八段、森内俊之九段、徳田拳士四段)とエントリーチーム「ストロングスタイル2023」(郷田真隆九段、行方尚史九段、古賀悠聖五段)の戦いを振り返る。
 Dリーグはチーム康光「駅伝」が予選通過を決めており、本試合の結果でもう1チームが決まる。初戦で大敗を喫したエントリーチームは2敗以下に押さえて勝つ必要のある厳しい状況だ。

 開幕戦は徳田が行方を破るものの、その後は古賀の活躍もあってエントリーチームが3勝1敗と巻き返す。先述の通り5勝2敗が通過の懸かったラインなので、事実上五分の星取りとなった。

第5局 郷田真隆九段─糸谷哲郎八段

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 糸谷の右玉に対し、郷田はうまく厚みを作っていき、必勝形を築き上げる。しかし糸谷玉に早逃げを許していったのがまずく、終盤は二転三転の混戦となった。

【第1図は△3二同銀まで】

 ここは先手に勝ち筋が訪れている。▲3一竜と切って△同玉▲4二銀△同玉▲5一角と打てば詰みだった。実戦は秒に追われて▲7一竜だが、△6六桂▲8八玉△8七歩▲同玉△4一歩から最後は後手が逆転勝ちを収めた。

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 これでチーム糸谷が予選通過へ前進。しかしエントリーチームには錯覚があり、ここで通過の目がなくなったと思ってしまったようだ。

第6局 徳田拳士四段─行方尚史九段

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 角換わり腰掛け銀の戦いから急所にと金を作った行方が優勢に。しかし徳田も必死に嫌みをつけて楽をさせない。

【第2図は▲7三飛成まで】

 後手玉も二枚竜で迫られて怖いところだが、△4八銀が決断の踏み込み。▲5六金△同角▲同歩に△5七玉と入る手が攻防で後手勝ちがはっきりした。ここまで初日の出なかった行方だが、大きなところで白星をあげる。

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第7局 郷田真隆九段─糸谷哲郎八段

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 本局の勝者が予選通過となる大一番はリーダー対決。先後も第5局と同様で、同じような戦型に進むが、形勢はやはり郷田が大きくリードを奪う。しかし、糸谷も得意の勝負術で局面を混沌とさせていく。

【第3図は▲7四歩まで】

 ここで△6九銀が狙っていた勝負手。▲同玉に△8七角と打って金を抜きにいく。対しては▲7八銀と弾いておけばまだ先手が残していたようだが、実戦は▲6八玉と節約したため、△7六角成▲5四銀△同金▲同歩△7七馬▲同玉△8六角で、急転直下のトン死となってしまった。

 第5局、第7局と急所のリーダー対決は糸谷が大きな逆転勝ちで予選突破を決めた。

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 第8局、第9局は森内が力を見せて連勝。チーム糸谷が2試合続けてフルセットの激闘を制し、予選通過を決めた。

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 予選Dリーグからはチーム糸谷(1位)とチーム康光(2位)が決勝トーナメントへ。

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【総合成績】
第1局 徳田○─●行方
第2局 糸谷●─○古賀
第3局 森内●─○郷田
第4局 徳田●─○古賀
第5局 糸谷○─●郷田
第6局 徳田●─○行方
第7局 糸谷○─●郷田
第8局 森内○─●古賀
第9局 森内○─●行方

【個人成績】
糸谷八段 2─1
森内九段 2─1
徳田四段 1─2
郷田九段 1─2
行方九段 1─2
古賀五段 2─1

ABEMAトーナメント

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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