チーム藤井VSチーム斎藤 ABEMAトーナメント2023~本戦トーナメント2回戦第四試合振り返り~

チーム藤井VSチーム斎藤 ABEMAトーナメント2023~本戦トーナメント2回戦第四試合振り返り~

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年09月04日

 9月2日(土)に放映された本戦トーナメント二回戦第4試合のチーム藤井「トウカイテイオー」(藤井聡太竜王・名人、澤田真吾七段、齊藤裕也四段)と、チーム斎藤「飛慎隊」(斎藤慎太郎八段、黒田尭之五段、冨田誠也四段)の戦いを振り返る。

 開幕戦は黒田が澤田の角交換振り飛車を破り、斎藤チームが好スタートを切る。

第2局 齊藤裕也四段─冨田誠也四段

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 両者は大学将棋の強豪としても知られる立命館大学のOBで、同窓対決でもある。両者は振り飛車党だが、先輩の冨田が振り飛車を譲って居飛車で迎え撃つ。形勢は二転三転したが相入玉模様になり、点数勝負になるかと思いきやまさかの千日手。指し直し局も再び冨田が居飛車で齋藤の振り飛車を受ける形となった。

【第1図は△5七角成ままで】

 ここで▲5八金と当てて催促したが失着。△7九馬とこちらを切られてしまい、▲同銀に△3九飛成で受けにくくなった。先手は▲5九歩が打てないのが痛く、▲3五角打とつないだが△3四金と当てて振り飛車が良くなった。以下は後手が手堅く押し切って、チーム藤井が1勝1敗に追い付いた。

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第3局 藤井聡太竜王・名人─斎藤慎太郎八段

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 互いに一人ずつ出場していったため、第3局で早くもリーダー対決が実現。相掛かりから斎藤がペースをつかみ、確実にリードを保って終盤に突入。そのまま会心譜になるかと思いきや、最後にドラマが待っていた。

【第2図は▲7八同玉まで】

 △8八飛成と切り飛ばし、▲同玉に△9七銀と打ってなんと先手玉は詰んでいる。▲7九玉と逃げられればいいが、△7八銀▲同玉△8七角▲同玉△8八金▲7七玉△8五桂までの詰み。実戦は▲9七同桂としたが、やはり△同歩成から即詰みに打ち取った。藤井が得意の詰将棋力で、一瞬のチャンスをもぎ取り逆転勝ちを収める。結果的にはこの勝利が流れを決定付けたか。

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 第4局で冨田が齋藤に第2局のリベンジを果たすが、第5局で澤田が、第6局で藤井が勝って4勝2敗とチーム藤井が追い込んでいく。

第7局 齊藤裕也四段─斎藤慎太郎八段

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 オーダー会議で齋藤裕が「行っていいですか?」と志願。藤井も「サイトウ対決来ますよ」と期待し、後がないチーム斎藤は当然のリーダー出場で実現。相穴熊から振り飛車の齋藤裕が作戦負け気味だったが、うまく決戦に持ち込んで激戦になる。

【第3図は▲8五玉まで】

相穴熊だったが、先に穴から引きずり出して後手が勝勢になった。ここは△8四歩▲同成香△7三桂からの詰みもあったが、時間切迫の中では実戦の△7二金打も崩れない手。▲7一飛成に△8四歩▲同成香△7一金として依然として後手勝勢だ。王手が掛かりにくい形をキープしやすいのが穴熊の強みで、最後は条件が分かりやすくなったところで先手玉を即詰みに打ち取った。

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 サイトウ対決を裕也が制し、チーム藤井が5勝目をあげ、5勝2敗で勝利。ベスト4が出揃い、いよいよ今大会も大詰めとなる。果たして栄冠を手にするのはどのチームか。

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【総合成績】
第1局 澤田●─○黒田
第2局 齊藤○─●冨田
第3局 藤井○─●斎藤
第4局 齊藤●─○冨田
第5局 澤田○─●黒田
第6局 藤井○─●冨田
第7局 齊藤裕○─●斎藤慎
総合 5勝―2勝

【個人成績】
藤井聡太竜王・名人 2─0
澤田真吾七段 1─1
齊藤裕也四段 2─1
斎藤慎太郎八段0─2
黒田尭之五段 1─1
冨田誠也四段 1─2

ABEMAトーナメント

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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