チーム木村VSチーム稲葉 第4回ABEMAトーナメント~本戦2回戦 第二試合振り返り~

チーム木村VSチーム稲葉 第4回ABEMAトーナメント~本戦2回戦 第二試合振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2021年08月18日

 お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメント、8月14日(土)に放映された本戦トーナメント2回戦第二試合はチーム木村「エンジェル」(木村一基九段、佐々木勇気七段、池永天志五段)対、チーム稲葉「加古川観光大使」(稲葉陽八段、久保利明九段、船江恒平六段)だ。両チームによる団体戦の模様をお送りする。

【第1局 稲葉陽八段-佐々木勇気七段】

 第1局で「エンジェル」は佐々木が、「加古川観光大使」は稲葉が出陣する。振り駒の結果、稲葉の先手に決まり、相掛かりとなる。

【第1図は△2五飛まで】

 中盤で稲葉が優位に立ったが、第1図の銀取りをどう受けるか。ここでは▲2八歩が手堅く、これならば先手ペースの局面が続いていただろう。実戦の▲2八銀を「一手バッタリでひどかった」と稲葉は悔やむ。以下△1五桂▲1九桂△2七桂成▲同桂△8五飛と進み、後手が逆転に成功した。先手は8筋に歩が立たないのが痛い。「(▲2八銀に)△3五桂は見えていたけど、△1五桂が見えていなかった。カッコつけすぎた」とは、終局後に作戦部屋へ戻った時の稲葉の嘆息である。

【第2図は▲9七金まで】

 以下進んで第2図。佐々木はこの局面について「飛車を切る手が見え、成立していたのならばよかった」と振り返る。実戦の△8六飛がその一着で、対して▲同金は△4七角成▲5九玉△4六桂で先手玉は受けなしとなる。稲葉は△8六飛に▲5九桂と頑張ったが、△8八飛成▲6六歩△4七金▲同桂△4六桂以下、佐々木が的確に寄せ切った。

 逆転勝ちのチームメイトを迎えた木村は「序盤はボロボロになるかと思ったけど、あれ勝ったのは大きいよ」とガッツポーズ。その言葉通り、この1局がチームに流れを引き寄せた。

 池永―久保戦となった第2局では、久保の後手四間飛車に池永が中央位取りを作戦に採った。「経験はないが勉強した将棋なので、思い出しながら指していた」という池永が、相手のスキを見逃さずにリードを奪い、勝ち切って2連勝。

 続く第3局は木村―船江戦となるかと思われたが、リーダーの指名により「エンジェル」からは佐々木が再度の出陣。プロ入りが同期である船江を相矢倉で下した。

 第4局。3連敗と苦しい「加古川観光大使」はリーダーの稲葉が2度目の出陣。対する「エンジェル」はまたもリーダーを温存して、今度は池永が2度目の登場となった。この勝負は稲葉が意地を見せる形で池永を角換わりで圧倒、持ち時間を4分も残す快勝劇でチームの連敗を止めた。「1つ勝ったので安心しています。予定していた作戦で時間を増やしながら指せました」と稲葉は振り返った

 第5局でようやく木村が登場。久保との一戦は先手三間飛車穴熊VS銀冠という構図になり、中盤でペースを握った木村が押しきる。「攻める展開になってからペースがつかめた。今日は初めてですので緊張しましたが、一局指してホッとしました。(勝ち抜けに王手は掛かったが)先がどうなるかわからないので一生懸命指していきたい」と語った。

【第6局 佐々木勇気七段-稲葉陽八段】

 「エンジェル」が勝ち抜けに王手をかけた第6局は佐々木―稲葉戦。第1局でもぶつかったカーだが、先後は入れ替わっている。

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【第3図は△5四角まで】

 第3図は角換わりの序盤。この△5四角の局面を、佐々木は公式戦の後手番で指した経験(19年9月の順位戦C級1組、対青野照市九段戦)がある。本局では先手番を持った佐々木は図から▲3三銀不成と踏み込み、△2七歩に▲4二銀不成と指した。「ちょっとやってみたかった手」と局後に振り返っている。

 ▲4二銀不成の意味としては代えて▲6八飛△3三桂(金も有力)の進行と比較して、△4二同玉、同金、同飛のいずれでも後手陣がより乱れているだろうというもの。ただし△同飛に▲6八飛(実戦の手順)は後手に手番を渡すデメリットもある。

 以下も難しい戦いが続くが、最後に抜け出した佐々木が勝利し、チームの勝ち抜けを確定させた。「文句なしのMVPです」とは木村リーダーの賛辞。「1局目の逆転勝ちで流れを引き寄せてくれた。一番はらはらした将棋も最後」と木村は語る。

 本戦トーナメント2回戦第二試合の最終結果は以下の通り
第1局 佐々木◯-●稲葉
第2局 池永◯-●久保
第3局 佐々木○-●船江
第4局 池永●-○稲葉
第5局 木村◯-●久保
第6局 佐々木○-●稲葉
総合「エンジェル」5勝―1勝「加古川観光大使」

 次週は本戦トーナメント2回戦第三試合。予選Bリーグ1位のチーム菅井「一刀流」と、本戦1回戦でチーム羽生を下したチーム糸谷「FREESTYLE」がぶつかる。8月21日(土)17:00~の放映をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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