▲4六銀は成立しない?矢倉を攻めるときの攻め筋を1つ1つ解説!【矢倉の崩し方】

▲4六銀は成立しない?矢倉を攻めるときの攻め筋を1つ1つ解説!【矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年04月23日

今回のコラムも、矢倉での4七銀、3七桂型から攻めていく指し方を見ていきます。それでは第1図です。

【第1図は△4四銀まで】

いま、▲4五歩△同歩▲同桂に△4四銀と後手が銀をかわした局面です。前回のコラムでは、第1図から▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2九飛と進めました。そこで後手は△3七角と打ち、▲2四歩△同歩▲5一角としていい勝負でした。しかし、形によっては▲5一角が成立しないこともあり、相手の形によって▲2四歩といけるかどうかは判断しなければならない難しい指し方でした。

それでは、今回は第1図からもう一つ有力な攻め方を見ていきましょう。第1図から、▲4六銀(第2図)と銀をぐいっと上がる手が自然なよい形です。

【第2図は▲4六銀まで】

これで次の攻めを狙っていくのですが、第2図で気になる手がありませんか? そちらが気になった方は、なかなかの棋力をお持ちと見受けられます。△4五銀と食いちぎり、▲同銀に△4四歩(第3図)と銀を取り返しにくる順があります。

【第3図は△4四歩まで】

なお、第3図の△4四歩で歩を使わずに△3三桂は▲4四歩で先手よしです。以下△5三金は▲3四銀ですし、△4五桂は▲4三歩成と金が取れます。さて、第3図で先手が悪ければ▲4六銀と上がる手は成立しないということになります。先手に手段はあるのでしょうか?

まず、▲4四同銀は△同金で後手は歩切れですが続く攻めが難しいです。以下▲2四歩としても、△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩で▲2八飛は△3七角、▲2九飛も△3八角▲2八飛△4七角成(第4図)で馬の力が強く、飛車をいじめられて攻めを切らされそうです。

【第4図は△4七角成まで】

こうなると失敗ですね。では、第3図から▲3四銀はどうでしょうか? △同金に▲3五銀と打てるのが▲4四同銀との違いです。こうなれば後手の金をはがすことができそうですよね。ですが、△3五同金▲同角に△3三銀と銀を埋め直されると▲4五歩には△3四銀打があってどうも芳しくないです。

また、▲3五銀に△3三金引▲2四歩△同歩▲同銀△2三歩▲3三銀成△同金(第5図)と進められても、第1図からは後手陣はだいぶ薄くなりましたが、続く攻めが難しく、後手の駒台も銀二枚に桂と潤っており、これも先手成功とは言い難いです。

【第5図は△3三同金まで】

では、第2図の▲4六銀は成立しないのか? 次回のコラムでは、第3図からの攻防をもう少し見ていきましょう。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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