▲2四歩からの飛車捨てで攻めをつなげよう!4七銀、3七桂型での攻めとは?【矢倉の崩し方】

▲2四歩からの飛車捨てで攻めをつなげよう!4七銀、3七桂型での攻めとは?【矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年04月24日

今回のコラムも、矢倉での4七銀、3七桂型から攻めていく指し方を見ていきます。それでは第1図です。

【第1図は△4四歩まで】

いま、後手が△4四歩と銀を取り返しにきたところです。前回のコラムでは、ここから▲4四同銀と▲3四銀と銀を捨ててから攻める順を見ていきました。▲4四同銀は△同金▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩で▲2八飛は△3七角、▲2九飛も△3八角▲2八飛△4七角成でうまくいきませんでした。▲3四銀も、△同金▲同角△3三銀や、△3三金引▲2四歩△同歩▲同銀△2三歩▲3三銀成△同金でこちらも成功とは言い難い結果となりました。

では、第1図はすでに先手が失敗をしているのか? 別の攻めはないのかを見ていきましょう。現状は銀の行き場がありませんが、行きがけの駄賃とすぐに歩と刺し違えてしまうのではなく、取りきられる前になにかできないかを考えてみましょう。銀を捨てる手以外でぱっと目につく攻めは▲2四歩(第2図)でしょう。

【第2図は▲2四歩まで】

△4五歩には▲2三歩成△同金▲2四歩△3三金左▲2三銀△3一玉▲3五歩と攻め込んで先手よしです。第2図からは△2四同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩(第3図)と進みます。

【第3図は△2三歩まで】

第3図で、▲2八飛などと反射的に飛車を逃げてしまうのは、△4五歩と銀を取りきられてしまいます。また、▲3四飛は△同金なら▲同銀と飛車は取られますが銀を逃げつつ後手陣に迫れます。こうなれば駒割は飛車桂と金銀の交換となって先手大成功ですが、△4五歩と銀のほうを取られてしまいますと、3四の飛車取りが残ってどうもうまくいきません。

では、第3図は飛車銀両取りが残っていて先手がダメなのか? まだ別の手段はありませんか?

▲3四銀(第4図)と飛車の横利きを生かして銀を進出する手が正解となります。

【第4図は▲3四銀まで】

第4図で△3四同金は、▲同飛と飛車を逃がしつつ取られそうな銀を金と交換できて、先手大成功です。問題は△2四歩と飛車を取られたときです。単に▲4三銀成は△同金で、▲4一角も▲6一角も△3二銀と投入されてまだまだ後手に頑張られてしまいます。ですが、一発▲2三歩(第5図)と打つ手が好手になります。

【第5図は▲2三歩まで】

△2三同金は4三金への利きがなくなりますので、▲4三銀成と金をタダ取りしてよしです。第5図で△3一玉には▲4三銀成△同金に▲2二角と打ち込む手や▲6一角が厳しい攻めとなっていずれも先手よしとなります。銀を殺されたからといって、反射的に歩と刺し違えるのではなく、取りきられるまでになにかできないか? ということを考えることが大切です。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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