2四歩と突かれても▲3三歩が有効。矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第100回 矢倉の崩し方】

2四歩と突かれても▲3三歩が有効。矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第100回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年07月23日

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲6八角まで】

いま3五で銀交換が行われ、△3四歩と角取りに打たれて、▲6八角と引いた局面です。前回はここで△3五銀と打つ手を見ていきました。これには、▲3三歩△同桂に▲1五香と走って攻めがつながっていきましたね。

角筋が止まったら、▲2四角と歩を払おう

今回は別の手を見ていきましょう。△2四歩(第2図)と突く手はどうでしょうか?

【第2図は△2四歩まで】

▲1三歩は、△2五歩と桂を取った手が、ちょうど1五の歩にヒモがついて、攻め続けることができませんね。以前、端を突き越した形でも出てきましたが、▲3三歩(第3図)がここでも有効となります。

【第3図は▲3三歩まで】

角や金で取るのは▲同桂成としておいて駒得で先手よしですね。一例として、△3三同金寄▲同桂成△同金なら、▲2五歩△同歩▲3六銀として、▲2五銀~▲3四銀を狙う要領です。△2四銀と受けてくれば、▲2八飛△6四角▲4六歩としておきます。

また、第3図で△2三金は▲3二銀の打ち込みが厳しいですし、△3一金は4二角の利きが止まるので、▲2四角と歩を取れば先手はっきりよしですね。

よって、第3図では△3三同桂と取ることになります。ここで▲同桂成としては、△同金寄や△同金上で続く攻めが難しくなりますね。△3三同桂には、角筋が止まったので、▲2四角(第4図)と歩を払うのがよいでしょう。

【第4図は▲2四角まで】

第4図からは、▲3三桂成もありますが、▲1二歩△同香と一本打ち捨ててから▲1五香(▲1三銀もある)が厳しい攻めです。△1五同香は、▲1三角成△2一玉▲1二銀までですし、△2三金は▲1二香成△同玉に▲3二銀で決まります。以下、△5三金は▲1三桂成△同金▲同角成△同玉▲1九香△1四歩▲2三金までの詰みですし、△2四金には▲4三銀成です。

第4図から、△2五桂は▲同歩としておいて、△2四角は▲同歩でどんどん歩が伸びていきますし、なにもしなければ▲4二角成△同金寄(△同金引は▲3四飛や▲4六桂が生じます)にやはり▲2四歩が厳しい突き出しとなります。

長い将棋になっても先手満足な展開

第4図で△2三銀は、▲6八角△2四歩▲3三桂成△同金寄で長い将棋になります。こう受けられると一気の攻めは難しいですが、後手は受けに銀を手放しており、先手のみ銀が持ち駒にありますので、先手満足な展開とは言えるでしょう。ただし、△1六歩と伸ばす手が生じているので、先手が忙しい展開ともいえます。

△2三銀に対し、▲3三桂成△同金寄▲同角成△同角(△同金は▲2二金△4一玉▲2五桂がうるさいです)▲1二歩(第5図)と一気に攻め込む順も考えられます。

【第5図は▲1二歩まで】

やや無理をしている感もありますが、第5図から△1二同香は▲同銀不成△同銀▲2五桂、△2一桂は▲2五桂△1三桂▲3三桂成△同金▲1一歩成で攻めが続いていきます。持ち時間の短い大会ならば、先手が勝ちやすいでしょう。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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