ライター藤倉勇樹
日本将棋連盟の「子供将棋スクール」で長らく講師を務めた経験から、現在は志木こども将棋教室と東新宿こども将棋教室で将棋教室を開講中。元々は振り飛車党だったが、最近では矢倉など居飛車も多く指している。映画「聖の青春」やTVドラマ「やすらぎの郷」で将棋監修として携わっている。
ライター: 藤倉勇樹 更新: 2018年01月17日
藤井聡太四段の快進撃で、マスメディアに将棋が取り上げられる機会が増えました。それに伴い、将棋を習うお子さんが一気に増加しており、全国のこども教室は賑わっているようです。この機会に多くのお子さんに将棋の魅力を知っていただきたいと思います。
こちらのコラムでは、将棋をこれから学ぼうとお考えのお子さんに、ご父兄がどうやって将棋を教えれば良いか、ポイントをかいつまんで連載していきたいと思います。
さて、私自身は、奨励会時代を含め、子供スクールで講師を長く担当させていただき、たくさんの生徒と接する機会に恵まれました。現在も自分の将棋教室を中心に子供に指導する機会が多いのですが、その中で必ず言っていることについて書きたいと思います。
私が子供たちに対して、まず最初に知ってもらいたい礼儀作法についてから触れていきます。「礼に始まり礼に終わる」の言葉が示す通り、将棋を指す上では、礼儀は欠かせません。三つの挨拶に触れていきます。
お互いが盤を挟んで勝負を始める上で、大切な挨拶です。指導対局の際に、大きな声で挨拶できない場合は、できるまで対局を始めないようにしています。気持ちよく勝負が行えるよう、元気に挨拶をするように指導してください。
自分の王様が詰まされてしまう等、負けが確定した瞬間に必ず言わないといけない挨拶です。他の競技と決定的に違う点で、自分の負けを認めないといけないので、将棋を指す上で一番つらい瞬間と言えるでしょう。
始めたばかりのお子さんの場合、「負けました」を言えずに泣いてしまうこともあります。また、投了の際に「負けました」ではなく、「ありがとうございました」と言うお子さんもいます。間違いではないのですが、将棋を長くやっていく上で大切なことですので、「負けました」を言えるように指導しています。
対局が終わった後の大切な挨拶です。お互いの健闘をたたえ合う意味でも、一礼をしながら大きな声で気持ちよく挨拶をさせましょう。
三つの挨拶ができたら最後にもう一つ大切なことが残っています。それは「駒の片付け」です。プロの対局でも必ず行っていることです。王から順番に駒を数えて片付けます。駒を紛失しないための大切な作業で、毎回必ず行うようにしましょう。歩は18枚あるので、3枚ずつ駒箱に入れてください。
プロの場合は、上位者が駒を片付けるのですが、お子さん同士の場合は、二人で一緒に片付けるようにしてください。上位者が王から、下位者が歩から片付けるのがお薦めです。
ここまでの流れができて対局が終了となります。相手がいないと将棋は指すことができません。お互いが気持ち良く対局ができるよう、ぜひ三つの挨拶を大切にしながら将棋を楽しんでいただきたいと思います。
次回は、具体的に駒の動きについて、どうやって教えていくかを書いていきたいと思います。
ライター藤倉勇樹