ライター藤倉勇樹
日本将棋連盟の「子供将棋スクール」で長らく講師を務めた経験から、現在は志木こども将棋教室と東新宿こども将棋教室で将棋教室を開講中。元々は振り飛車党だったが、最近では矢倉など居飛車も多く指している。映画「聖の青春」やTVドラマ「やすらぎの郷」で将棋監修として携わっている。
ライター: 藤倉勇樹 更新: 2018年03月23日
第四回は前回の続きで、九枚落ちでの指し方について書きたいと思います。
王と歩だけの10枚落ちで、駒の成り方と攻め方がだいぶ理解できるようになります。それがクリアできたところで、上手側の左の金を増やします。金が一枚増えることで飛車と角が簡単に成れなくなったことに気付くでしょう。(図1)
【図1】
ルールを覚えて間もない頃は、駒の動かし方も分からず、不安なものです。駒の価値が頭の中に入っていない為、角と歩をいきなり交換してしまうお子さんも珍しくありません。そういう時は、「1万円を10円と交換するのは、得するのかな?」と駒の価値について考えてもらうようにしています。
自分から見て右側(上手の左側)から破りにくいと分かると、上手の駒が守っていない左側から攻めるようになるお子さんもいます。そういった時は、弱点を攻めた発想を褒めることで、やる気をアップさせることができます。
左側から飛車と角を成りこみ、二枚対一枚の攻め方(第3回参照)に慣れてきた場合は、次のステップとして、棒銀戦法(※注1)を教えます。右銀を繰り出していき、二枚対一枚の数の攻めを覚えてもらいます。これができるようになると、次の八枚落ちでもスムーズにクリアできるようになるので、お薦めです。
八枚落ちへの移行は、棒銀の攻め方がしっかりできているかを見ながら進めていくと良いでしょう。
私が指導する際に気を付ける上手側のポイントとしては、
(1)王は逃げても三段目まで。それ以上はできるだけ逃げない
(2)八枚落ちの際は、右金を使って攻めすぎない。
この二点です。
(1)については王と金二枚で逃げた場合、下手は、なかなか王を捕まえることができません。まずは二枚対一枚で王を捕まえる形を覚えてもらい、勝ち方を掴んでもらうのが大事です。私が指導する場合は、三段目までをルールとし、四段目まで逃げてしまった場合は、捕まえやすい形を作って詰ましてもらうようにしています。
続いて(2)の場合、右金で攻めていくと、受け方を知らないのであっという間に破れてしまいます。最初は数の攻めに専念してもらうようにするのが良いでしょう。攻め方が分かってきたところで、受け方を少しずつ教えていきましょう。
回数を重ね、基本ができるに連れて、(1)、(2)それぞれの条件を解除していきます。その頃には、将棋の楽しさが分かるようになっているはずです。
次回は指導する際のポイントについて書きたいと思います。
注1:棒銀(ぼうぎん)戦法
飛車先に銀を進める初心者にも分かりやすい戦法。初心者向きではあるが、破壊力があり、バリエーションも多く、上級者が用いることも多い。参考図は、典型的な棒銀戦法の局面。
【参考図】
ライター藤倉勇樹