ライター藤倉勇樹
日本将棋連盟の「子供将棋スクール」で長らく講師を務めた経験から、現在は志木こども将棋教室と東新宿こども将棋教室で将棋教室を開講中。元々は振り飛車党だったが、最近では矢倉など居飛車も多く指している。映画「聖の青春」やTVドラマ「やすらぎの郷」で将棋監修として携わっている。
ライター: 藤倉勇樹 更新: 2018年07月18日
第六回は前回に続き、指導法について書きたいと思います。
前回のコラムでは、将棋に勝つことで、興味を持ってもらうのが第一歩と言うことを書きました。将棋を始めたばかりで負けた後に「負けました」を言うのはかなり辛いことです。プロセスを経た上で、勝利→自信がつき成功体験を得られる。これが将棋の良いところだと思います。
私が将棋を覚えたのは六歳の時でした。アマチュア二段の父にルールを教えてもらった後に王様一枚(十枚落ち)で対局。ぶつかった歩を取る、飛車と角を成る、など基本的なことを教えてもらえば負けることはないと思うのですが、結果は敗戦。勝負の厳しさに触れた瞬間です。習い始めたばかりとはいえ、十枚落ちで負けるのはプロの中でも私ぐらいのはずです。負けるはずがないと考えていた分、ショックが大きくボロボロと泣いたのを覚えています。そのまま将棋を辞めていてもおかしくなかったと思うのですが、次は負かしてやる!の気持ちが強く、その後も対局は続きました。父が緩めてくれていたのに気付いたのは、実際に指導をする側に立ってからです。八枚落ち→六枚落ちと進んでいき、次第に平手で負かすという目標に変わり、次第にのめり込んでいきました。平手での初勝利は小学三年生の頃だったと記憶していますが、一つの目標が叶い、嬉しかったのを覚えています。
冒頭で紹介したものとは正反対の指導法で驚かれたと思いますが、今回書きたかったことは、それぞれのお子さんに応じて指導法は全く異なるということです。
教室で指導をしていても、生徒さんそれぞれで性格が全く異なります。初めに勝てず、嫌になって将棋をやらなくなってしまうケースは女の子に多い印象ですし、逆に勝たせてもらってばかりでも面白くないと言うのは男の子に多い気がします。指導を重ねるにつれて、生徒さんに見合った指導を心掛けるようにしています。
ご自宅で指導される際も、お子さんの性格に沿った指導をして頂ければ、さらに興味を持って取り組んでもらえるはずです。
次回は上達法について書きたいと思います。
ライター藤倉勇樹