▲2五歩がポイント! 雀刺しで矢倉囲いを攻略する方法

▲2五歩がポイント! 雀刺しで矢倉囲いを攻略する方法

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年11月14日

今回のコラムも、雀刺しから矢倉を攻める指し方を見ていきましょう。それでは第1図です。

【第1図は▲1三桂成まで】

これまでのコラムで、△1三同桂、△1三同玉、△3一玉の応手はどうなるかを見てきました。この三つはすべて先手が優勢になりましたね。残る応手は△3三玉、△1三同香、△1三同銀の三つです。ここまで、半分の応手を見てきたことになります。それでは残り半分も順に見ていきましょう。

第1図から、△3三玉と今度は上に逃げてみましょう。これにも、▲1四歩(第2図)と突き出していきます。

【第2図は▲1四歩まで】

第2図から、△1三香は▲同歩成△同桂▲同香成△同銀▲同角成と、1筋が破れるということは、これまでのコラムを読まれてきた方でしたら、わかっていただけていることかと思います。

なお、今回のケースでは、△1三同銀のときに▲2五桂(第3図)と打てば、△2二玉▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰みがあります。

【第3図は▲2五桂まで】

3三に玉がうわずった形のデメリットが出た一例ですね。中盤や終盤で、上部脱出を目指して玉を上がって粘るということは多々ありますが、序盤や中盤の入口などで玉がうわずっている場合は絶好の攻めの的になることが多いですので、できるだけ二段目からは上がらないようにすることが大事といえます。

さて、第2図で1三の成桂を取るのは、後手の数が全然足りてませんので、3三玉と上がった手を生かして△4五歩と玉の行き場所を確保してみましょう。前回のコラムを読まれた方でしたら、△4五歩にどう攻めればよいのかが容易にわかっていただけることと思います。

ここでも、▲2五歩が好手となります。△1三銀は▲同歩成で数が足りませんし、3三も玉がいて引くことができません。よって、△2五同銀しかありませんが、2六の歩が消えて、▲2二歩(第4図)と打てるようになります。

【第4図は▲2二歩まで】

今度は3三に桂の逃げ場所がないので、△2二同金か△1三桂のどちらかになりますが、△2二同金は▲同成桂△同玉▲1三歩成となって、これは前回のコラムとほぼ同じ局面になりますね。金桂交換の駒得のうえに、端まで破れて先手優勢です。

△1三桂も▲同歩成として、次に▲2一歩成や▲2三と△同金▲1一香成の攻めもあってこれも先手よしです。気をつけなければいけないところは、第4図の▲2二歩に、△1三桂▲同歩成△6四角(第5図)としてきたときです。

【第5図は△6四角まで】

ここで▲2一歩成とすると、△2六桂と打たれて6四の角が2八や1九に利いていて、飛車を取られてしまいます。こうなると一気に先手が不利となってしまいます。

さて、どうするかですが、△6四角には▲2三と△同金▲1一香成と攻めるのがよいでしょう。今度△2六桂には▲1二飛成と成り込めますし、△1七歩▲同飛△1六歩としてきても、▲2七飛△3六銀▲2六飛としておけば、△3七銀不成には▲1六飛があってこれも先手がよいです。よって、△3三玉も先手優勢となりました。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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