ライター一瀬浩司
穴熊の崩し方、最終章!穴熊も急所を抑えれば怖くない!【穴熊の崩し方 vol.19】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2017年06月05日
今回のコラムで、穴熊に対する崩し方のご紹介は最後となります。まずは第1図をご覧ください。
【第1図】
まずは、▲6三桂の攻めが目につくと思いますが、△7二金とかわされますと、▲6一飛成としても△6二金打とがっちり受けられて攻めが続きません。
次に、▲8三角成と飛び込む攻めが見えた方も多いことと思います。しかし、△8三同銀▲7一飛成に△7二金でも、△8二角でもどうもうまくいきません。
では、大駒を切る順番を変えて▲7一飛成はどうでしょうか? △7一同銀に▲8三角成とすれば、次の▲7二金や▲6一馬が厳しい攻めとなりますが、△8二金と受けられて、▲6一馬は△7二銀ですし、▲5六馬も△8三歩と埋められて、いずれもたいして効果がありません。
第1図では▲9四歩の端攻めが正解です。△9四同歩に▲9三歩(第2図)が非常に厳しい攻めとなります、
【第2図は▲9三歩まで】
まず、△9三同銀は▲7一飛成があるので論外です。△9三同香には、▲8五桂かと思うところですが、それでは△6一歩と受けられて▲9三桂成△同桂▲9二歩△同玉▲9四香と攻めても、△9五歩(▲9九香など、香を足し算される手を防ぐ)や、△8四金などとまだまだ頑張られます。
ということで、△9三同香に対して、▲8五桂ではもう一つという結果となります。ですが、5六の角の利きを生かして一発KOさせる手があります。まずは▲9二歩と王手をかけ、△同玉に▲8四桂(第3図)が5六角の利きを生かした強烈な攻めです。
【第3図は▲8四桂まで】
もちろん△8四同歩とは取れませんので、△9一玉と引くしかありませんが、▲7一飛成と金を補充すれば、△同銀に▲9二金までの詰みとなって一気に寄せきることができました。 さて、第2図から残るは△9三同桂ですが、穴熊玉の脇があいたので、▲8三角成(第4図)が▲7一飛成△同銀▲7三馬△8二歩▲8三桂△8一玉▲9一金までの詰めろになっていて、より厳しい攻めになっています。
【第4図は▲8三角成まで】
第4図から△6一歩と受けても構わず▲同馬と取れば、△同金には▲同飛成で△7一金は▲8三桂△同銀▲7一竜△8一歩▲8二金までの詰みがありますし、△8一歩と受けても▲7二金と打てば受けなしとなります。▲6一同馬のときに△8一金打としても、▲8三桂△同銀▲7一馬で受けなしとなります。
第4図から△8一金打と受けるのは、▲6三桂が厳しい一手になります。△8三銀は▲7一桂成で寄りですし、△6二金とかわしても、▲8二馬△同玉▲7一銀が厳しく、寄り形となります。 また、第2図からの△9三同桂に対し、▲7四歩(第5図)もぼんやりしているようでなかなか厳しい攻め方になります。
【第5図は▲7四歩まで】
△7四同歩には、▲7二歩△8一金に▲7三桂が好手で、△同銀▲7一歩成で寄りとなります。
第5図で△6一歩と受けるのは、▲7三歩成△同銀に▲8三角成が厳しく、△8二銀は▲6一馬、△7二金打も▲同馬△同金▲6一飛成で、以下△7一歩は▲7四歩△同銀▲7三歩で、△8二玉も▲6五桂や▲7四歩△同銀▲6四桂などが厳しく、いずれも寄りとなります。
第5図から△7二金打は▲6四桂△6二金寄▲7三歩成△同金▲7四歩△6四金▲7三歩成で、これも攻めきることができます。
以上、全19回と長めの穴熊崩しのコラムとなりましたが、いかがだったでしょうか? 隅にまとまった堅い囲いも急所を突けば崩していくことができることがおわかりいただけたかと思います。次回のコラムからは、矢倉の攻め方をご紹介していきます。
穴熊の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。