穴熊の崩し方の応用編!端攻めと7三へのたたきの合わせ技で攻める【穴熊の崩し方 vol.16】

穴熊の崩し方の応用編!端攻めと7三へのたたきの合わせ技で攻める【穴熊の崩し方 vol.16】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年05月26日

今回のコラムは、穴熊に対して端攻めプラス、ほかの攻めを絡めた攻略法をご紹介していきます。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

ここから、▲9三桂成△同銀▲9八香打(第2図)という攻め方は、以前のコラムでご紹介いたしました。

【第2図は▲9八香打まで】

次に▲9四香△同銀▲同香となれば、6六の角も9三に利いており、非常に厳しい攻めとなります。しかし、第2図から△8二金上▲9四香△同銀▲同香に△9三歩や△9二歩と受けられるともうひと押しがないところです。もちろん、こう進めば穴熊はだいぶ弱体化しておりますし、攻めとしては成功といえます。

このように、端に集中して攻める指し方も有力ですが、第1図からはもう1つ有力な攻めがあります。それではこれからご紹介いたしましょう。

第1図から、▲7三歩(第3図)と金取りに打つ手がもう1つの攻め方です。

【第3図は▲7三歩まで】

第3図から、△7三同桂には▲同桂成でなく、そこで▲9三桂成と香を取れば、8一の桂の利きがなくなって△同銀▲同角成で穴熊は崩壊します。△7三同銀と取るのも、9三への利きが減りますので、▲9三桂成で崩壊です。

よって、第3図では、△7三同金と取るか、△6二金寄と逃げるかとなります。まずは△7三同金から見ていきましょう。これには、▲同桂成と金を取り、△同桂には▲7四歩△6五桂▲7三歩成△同銀▲9三角成がありますので、△7三同銀(第4図)と取り返してきますが、金をはがせたうえに、後手の穴熊陣はバラバラとなって、第1図と見比べてみると、段違いで薄くなっていることがおわかりになると思います。

【第4図は△7三同銀まで】

一応、攻めとしてはひと段落した感じで、一気に決まるということではありません。

第4図からの攻め方としては、例えば▲8五金と打って、▲9四香を狙う手や、▲9四香と走り、△同香に▲9三歩(▲9二金までの詰めろ)と激しく攻め立てる順もあります。

本コラムでは、わかりやすいように部分図でご紹介しておりますが、実戦では盤上の駒の配置によってどう攻めるかは臨機応変に決めることになります。とりあえずは、こんな攻め方もあるくらいの感じでご記憶いただけたらと思います。

さて、第3図から、△6二金寄と逃げた場合の攻め方です。これにはどう攻めるかですが、まずは▲9三桂成と香を取ります。△同桂には▲9二歩とたたく手が好手で、△同玉と取らせてから▲9四香と走れば、△9二歩と受けることができず、次の▲9九香などの足し算の攻めが非常に厳しく残ります。よって、△9三同銀と取ってきますが、▲7四香(第5図)が攻めの好手です。

【第5図は▲7四香まで】

▲7二歩成を防ぐために△7三桂と取りたいところですが、それでは9三の銀が離れ駒となってしまいますので、▲9三角成と銀をタダ取りすることができます。そのため、後手は7三の歩を払うことができず、▲7二歩成から金を入手することが約束されますし、もっと厳しくいくのであれば、▲9三角成△同桂▲7二銀と打ち込んでいく攻めもあります。以下、△8二金には▲7一銀不成があるため、この攻めは振りほどくことができません。

このように、端に集中した攻めだけではなく、7三へのたたきも絡めて攻めていく指し方も穴熊に対しては非常に有力ということがわかっていただけたかと思います。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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