穴熊の崩し方応用編!飛車と角のにらみを生かして8三を狙って攻めよう!【穴熊の崩し方 vol.18】

穴熊の崩し方応用編!飛車と角のにらみを生かして8三を狙って攻めよう!【穴熊の崩し方 vol.18】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年06月02日

今回のコラムでは、穴熊に対して大駒の利きを生かして、8三の地点を狙って攻めていく崩し方をご紹介します。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

後手の穴熊は金銀三枚で囲われていますが、8三に歩がいないので、そこを狙って攻めていきたいところです。 ぱっと思いつく手は▲8四桂でしょう。確かに、この手も次に▲7二桂成△同金に▲7一金△同金▲同飛成の狙いがあって厳しい攻めです。△7三金と金を逃げても、▲同角成で△同銀は▲7一飛成、△同桂は▲7二金で受けなしとなります。

しかし、第1図ではより厳しい攻めがあります。▲8三桂を考えられた方は、ほぼ正解です。△同銀は▲9一角成と玉を取れますので、△同金の一手ですが、▲7一飛成と金を取ることができます。次に▲7二金と打てば、▲8一竜までの詰めろを受けることができず必至がかかります。▲8四桂と打つよりも、より厳しい攻めですが、さらに厳しい攻めがあります。

第1図から、▲7一飛成(第2図)がいちばん厳しい攻め方です。

【第2図は▲7一飛成まで】

△7一同金には▲8三桂までの詰みですし、この局面自体が、▲8二竜△同金▲8三桂までの詰めろとなっています。第2図から詰めろを防ぐには△7三金くらいでしょうが、そこで▲7二金と打てば△7一銀は▲8三桂、△7二同金も▲8二竜△同金▲8三桂までの詰みがあって必至がかかります。

いくつか厳しい攻めがありましたが、どうすれば▲8三桂の詰みの形にもっていけるか、を考えながら局面を眺めていくと、より厳しい攻めにたどりつくことができると思います。

それでは、次に第3図をご覧ください。

【第3図】

今度の後手陣は、8三にも歩があって、完璧な穴熊囲いです。 さて、どう攻めるかですが、ここまで読まれてきた方はもう正解がわかりますよね?そうです。▲8四歩(第4図)と8三をこじ開けていく手が正解です。

【第4図は▲8四歩まで】

△8四同歩には、▲7一飛成とすれば△同金にあいたスペースに▲8三桂が打てて詰みとなります。第4図から放っておくのも、▲8三歩成が厳しく、△同金に▲7一飛成があります。

さて、後手はなんとか角のラインを受けなければなりませんが、△7三桂はどうでしょうか? これには▲8三歩成として、△同銀は▲7三角成が厳しく、△同金は▲7一飛成△8一歩▲8二金までの詰みですし、△8一玉も▲8二歩と打てば、以下△9一玉は▲7一飛成△同金▲8一金△同金▲同歩成△同玉▲8二金までの詰みです。また、△8二同金は▲6二馬と入れば▲7一竜までの詰めろで、△7二金寄と受けても、▲7三桂△8二玉▲7一飛成△同金▲8一金△同金▲同桂成△同玉▲7三桂△8二玉▲8一金までの詰みがあって受けなしとなります。

▲8三歩成のとき、△同金も▲9五桂が厳しく、△8四金と逃げても▲7一飛成△同銀に▲7三角成(第5図)で、△8二歩▲8三桂打△同金▲同桂不成△8一玉▲9一金までの詰みとなります。

【第5図は▲7三角成まで】

戻って、第4図で△6二金上とひねった受けも考えられます。しかし、この手にも▲8三歩成△同金▲9五桂と進めれば、△7三金寄には▲8三歩で銀の行き場がありませんし、△7三金上としても、▲8三桂成△同金に▲7二金と打てば次の▲8一飛成までの詰みが受からず必至となります。

このように、金銀三枚でガチガチに囲われた穴熊でも、飛車と角の強力なにらみを生かして8三を狙って攻めていくと、あっという間に崩れていきます。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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