穴熊を角のラインを生かして攻める！一段目に飛車の効きがない時の攻略方法とは？【穴熊の崩し方 vol.12】

ライター：一瀬浩司　　更新： 2017年05月07日

今回も穴熊に対し、角のラインを生かした攻めをご紹介していきます。まずは第１図をご覧ください。

【第１図】

前回と違って、今回盤上にある攻め駒は５五の角一枚のみとなります。さて、どう攻めていくかですが、▲５四歩と垂らし、▲５三歩成～▲６三歩～▲６二歩成のと金攻めも有力なところです。しかし、歩がたくさんあるので、もっと直接穴熊を攻めていきたいところでもありますね。

前回のコラムで解説しました、８二の銀がいなければ９一の玉が取れるということを思い出してください。そうです、▲８四歩（第２図）が厳しい一手となります。

【第２図は▲８四歩まで】

放置すれば▲８三歩成ですし、△８四同歩は▲８三歩△７三銀▲７四歩で、△同銀には相変わらず▲９一角成があるため、銀の行き場所がなく、取ることができます。よって、△７二金と受けるしかありませんが、▲８三歩成△同金▲７二歩（第３図）とすれば、次の▲７一歩成がまだ△同銀と取ることができず、△７三金と受けても▲８三歩が好手となって、△同銀、△同金ともに▲７一歩成と玉のそばにと金を作れることを確認してください。

【第３図は▲７二歩まで】

第３図で、△７三歩と受けても、▲６三歩と垂らせば、次の▲６二歩成が受からず、より玉の近くにと金を作って攻めていくことができます。続いては第４図です。

【第４図】

▲６四歩は△６二歩、▲５四歩も△５二歩と受けられてしまうため、ここではと金攻めを狙うことはできません。
やはり角のラインを生かし、▲８四歩が厳しい攻めとなります。△同歩には▲８三歩△７三銀▲６五桂ももちろん厳しい攻めですが、よく見てみてください。８三に駒を打っても後手は取ることができませんよね。

△８四同歩のときに、▲８三桂と打ってみると、後手は△同銀と取れませんし、玉の逃げ場所もないため、なんとこれで詰みになっています。角のライン攻めがいかに強力かということが、いちばんよくわかる例だと思います。

そこで、後手は▲８四歩を取ることができませんので、△７二金と受けてきますが、▲８三歩成△同金▲９五桂△７三金に▲８三歩△７一銀▲７三角成△同桂▲７二歩（第５図）と一気に攻めて、寄り形に持っていくことができました。

【第５図は▲７二歩まで】

第５図で△７二同銀は▲８二金までですし、△８一玉▲７一歩成△同玉と脱出をはかっても、▲６三銀と縛れば後手に受けはなく、必至がかかります。
また、第４図からの▲８四歩に対し、△６四歩とひねった受けも考えられるところです。▲同角は、△７二金▲８三歩成△同金▲９五桂のとき、△７三金が角取りになるのが打ち捨てた効果です。しかし、今度は▲７三同角成と切り、以下△同桂は▲８三歩△７一銀▲７二歩で第５図とほぼ同じですし、また△同銀は▲８三桂成と成っておいて、△８二歩には▲７三成桂△同桂▲７二銀で寄り形となります。

△６四歩のときに▲８三歩成△同銀▲８四歩として、△同銀、△７二銀ともに▲８三桂と打ち込んで王手金取りをかける攻め方もあってこれも厳しいです。
次回のコラムからはいろいろな穴熊に対する攻め方をご紹介していきます。