ゴキゲン中飛車をマスターしよう!居飛車の持久戦策は「6筋の位を取る」のがポイント【はじめての戦法入門-第7回】

ゴキゲン中飛車をマスターしよう!居飛車の持久戦策は「6筋の位を取る」のがポイント【はじめての戦法入門-第7回】

ライター: 高野秀行六段  更新: 2017年02月03日

皆さん、こんにちは。高野秀行です。前回は「ゴキゲン中飛車」に対して、居飛車が急戦策を採ってきた際の攻防をご覧いただきました。「△6四銀には銀ばさみ」早速使ってみた、という方はいらっしゃるでしょうか?今回は居飛車が持久戦策を採ってきた際の指し方についてご覧いただきたいと思います。

まずは第1図です。前回と同じ局面で、ここから△4二銀とすれば「急戦策」。今回は玉をしっかり囲ってきます。しっかり囲うといえば、あれです。

【第1図】

前回同様、この局面が基本図となります。

第1図からの指し手
△4四歩▲5七銀△4三金▲2八玉△3三角▲3八銀△2二玉▲1六歩△3二金▲4六歩△1二香(第2図)

【第2図は△1二香まで】

堅い囲いといえば「穴熊」ですが、「美濃囲い」でも十二分に対抗できます。ここからがポイントです。

△4四歩と角道を止めて来ました。ここで▲5四歩は、△4三金▲5三歩成△同銀であまり効果がありません。▲5七銀と上がり、▲2八玉から美濃囲いを作ります。居飛車は金を近づけてから△1二香。そうです、持久戦で囲うといえば「穴熊」。堅い囲いの代名詞のようですが、心配いりません。しっかりとした対抗策があります。

第2図からの指し手
▲6六歩△1一玉▲6五歩△5一銀▲6八飛△8四飛▲5八金左△4二銀右 (第3図)

【第3図は△4二銀右まで】

▲6六歩?▲6五歩と位を取るのがポイント。飛車を6筋に転換して「ゴキゲン四間飛車」の完成です。

互いに玉の囲いを進めるといった展開となりそうですが、ここが今回のポイント。居飛車がせっせと穴熊を組んでいる間に、▲6六歩~▲6五歩と6筋の位を取りましょう。穴熊は堅いのですが、駒が偏ります。そこで駒の少ない陣地に位を張っておきます。こう指すことによって「小さな駒⇒真ん中の駒⇒大きな駒」(第4回参照)の順番をスムーズに作ることができるようになります。そして飛車を6筋に回り、位を生かします。

△5一銀では△7四歩▲6八飛△7三銀(参考1図)と銀で6筋を受ける手も考えられますが、これは7三銀が動くと▲6四歩から6筋を突破されてしまうので、動きづらい格好。美濃囲いをゆっくり組み上げて十分です。

「ゴキゲン中飛車」が「ゴキゲン四間飛車」に早変わり。▲5八金左と「ゴキゲン中飛車」懸案の左の金が一手で形良く上がることができました。

【参考1図は△7三銀まで】

銀を守りに使う受け方もありますが、7三銀が動きづらく、先手の陣形がのびのびとしていて、十分です。

第3図からの指し手
▲4七金△2二銀▲5六銀△3一銀右▲6九飛△9四歩▲9六歩△1四歩 (第4図)

【第4図は△1四歩まで】

互いに駒組みが一段落。ここから「銀冠」に組み替えるのも有力です。

互いに金銀を引き寄せ、「穴熊」「美濃囲い」の囲いが完成しました。▲6九飛は分かりづらい一手ですが、将来の△2四角と出て来る筋に対して、備えた一手。振り飛車の手筋ともいえる手なので、頭の片隅に入れておくと良いですね。△9四歩では△7四飛が気になるかもしれません。しかしこの手には▲7五歩と強く突きましょう。△同飛なら▲6四歩△同歩▲同飛(参考2図)と6筋を突破することができます。

【参考2図は▲6四飛まで】

6筋を突破して先手好調。△8六歩が手筋(▲同歩なら△8八歩)ですが、▲8四飛が好手で受かります。

第4図からの指し手
▲4五歩△同歩▲同銀△4四歩▲5六銀△2四歩▲6四歩△同歩▲6三歩(第5図)

【第5図は▲6三歩まで】

4筋と一歩を交換し、6筋で「と金」作りが狙いの攻め筋。堅い穴熊には「と金」攻めが有効です。

第4図から▲3六歩~▲3七桂、そして▲2六歩~▲2七銀~▲3八金と「銀冠」に組み換える手順も有力で、本筋の指し方ともいえますが、今回は攻め筋を見ていただきます。

▲4五歩から一歩を交換し、▲6四歩が狙いの一手。以下△同飛は▲6五銀△8四飛▲6二歩と「と金」を作りにいきます。△同歩にも▲6三歩と、やはり狙いは「と金」作り。△5一角と受ける手はありますが、▲6六角△8三飛▲5七角と進めて先手好調です。なお△5一角と受けられる手が気になるなら、▲6三歩では▲6二歩と確実に「と金」ができる手を選んでください。「一歩の交換からと金を作る」これが「ゴキゲン四間飛車」に転じた、狙いの攻め筋となります。

では今回のおさらいです。居飛車は持久戦策で「穴熊」を目指してきました。しかし、焦ってはいけません。相手が囲いを作っている間に 「▲6六歩~▲6五歩と6筋の位を取りましょう」この位を取り飛車を6筋に転換することで、駒がスムーズに動き始めます。

そして組み上がったら、 「一歩を持って、と金を作る」 小さな駒で攻めるのは、将棋の基本。と金を作って、穴熊を攻略しましょう!

はじめての戦法入門

高野秀行六段

ライター高野秀行六段

1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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