攻め好きなあなたに「ゴキゲン中飛車」をご紹介。序盤で気を付けたい2つのポイントとは?【はじめての戦法入門-第5回】

攻め好きなあなたに「ゴキゲン中飛車」をご紹介。序盤で気を付けたい2つのポイントとは?【はじめての戦法入門-第5回】

ライター: 高野秀行六段  更新: 2016年12月28日

はじめての戦法入門

皆さん、こんにちは。棋士の高野秀行です。前回まで「四間飛車編」をご覧いただきました。四間飛車といっても、細かく分ければ多くの作戦があります。たくさん見ていただきたいのですが、この講座は「初めての戦法入門」。数多くある戦法をご紹介したく、今回から新しい戦法の登場となります。

いつもニコニコ陽気な近藤正和六段が家元の戦法といえば、お分かりですね。そうです「ゴキゲン中飛車」をご紹介します。初手から▲5八飛△3四歩▲5六歩△8四歩▲7六歩△8五歩(第1図)

【第1図は△8五歩まで】

初手に▲5八飛。「ゴキゲン中飛車」を明示します。

初手は「ゴキゲン中飛車」の第一歩。飛車を5筋に振ってしまいましょう。△3四歩と突かれた局面が最初の注意点。ここで▲7六歩と角道を開けると△8八角成▲同銀△4五角(参考1図)で次の△6七角成と△2七角成を同時に受けることが出来ず、馬を作られてしまいます。序盤早々「ゴキゲン」どころか「不機嫌」になってしまうので、気をつけてください。▲5六歩を突いてから▲7六歩と角道を開けるのが正しい手順。△8五歩と飛車先を伸ばした第1図で、作戦の指針となる一手があります。

【参照1図は△4五角まで】

△3四歩に▲7六歩と角道を開けると、角交換後にこのように角を打たれて困ります。細かな手順が大切です。

第1図からの指し手▲5五歩(第2図)

【第2図は▲5五歩まで】

▲5五歩と位を取ります。「ゴキゲン中飛車」最初のポイントです。

「ゴキゲン中飛車」の特徴の一つに「積極性」が挙げられます。従来の振り飛車とは違い、局面によっては自ら早めに動くことが可能な戦法です。それを示すのがこの▲5五歩。次に▲5四歩の攻め味も見せています。昔から5五の位は"将棋の天王山"といわれています。

5筋の位を早く取る」これが「ゴキゲン中飛車」最初のポイントです。しかし、心配なのが8筋。「四間飛車」では▲7七角と上がって交換を防ぐのがポイントとありました(第2回参照)。△8六歩は大丈夫なのでしょうか?第2図からの指し手△8六歩▲同歩△同飛▲5四歩△同歩▲2二角成△同銀▲7七角△8九飛成▲2二角成△5五桂▲4八玉(第3図)

【第3図は▲4八玉まで】

次に▲2一馬~▲4三馬が厳しく、先手優勢。強く応酬、これが第2のポイントです。

後手は△8六歩と攻めてきました。▲同歩△同飛に▲5四歩といきなり戦ってしまいます。以下、△同歩に▲2二角成~▲7七角と飛車、銀取りがかかります。△8九飛成と成り込まれますが、▲2二角成と銀を取り返し、△5五桂に▲4八玉と△4七桂成を受けます。第3図は次に▲2一馬~▲4三馬が厳しく、「ゴキゲン中飛車」優勢です。▲5五歩と位を取った手が生きている変化となります。

8筋の交換には、強気に応酬」これが第2のポイントです。

ここで少し寄り道を。今回は「ゴキゲン中飛車」が先手ですが、後手の場合、同じ仕掛けで居飛車に▲5八金右(参考2図)が入っている場合があります。この局面はプロ間でも意見が分かれる研究課題といえます。ここでは割愛しますが、後手で「ゴキゲン中飛車」を指す場合には、現れることのある局面ですので、先後の違いで難しい局面もあるんだなぁとぐらいに、頭の片隅に置いてください。

【参考2図は△6二玉まで】

「ゴキゲン中飛車」が後手の場合、先手に▲5八金右の一手が入ります。難しい局面、と頭の片隅に。

さて本線に戻ります。▲5五歩に△8六歩は居飛車の攻めが無理でした。第2図に戻って、ここから穏やかな駒組みとなります。第2図からの指し手△6二銀▲7七角△4二玉▲6八銀△3二玉▲4八玉△5二金右▲3八玉(第4図)

【第4図は▲3八玉まで】

ここで居飛車に選択権があります。次回は△4二銀と上がる「急戦策」を見ていきます。

△6二銀と5筋の攻めに備えたところで、▲7七角と8筋を受けます。▲5五歩と位を取ってから▲7七角と受けるのが、気持ちの良い手順で「ゴキゲン中飛車」人気の要因となっている一つです。▲6八銀と銀を繰り出したあと、玉の囲いとなります。第4図から居飛車は△4二銀からの急戦策と△4四歩~△4三金とする持久戦策に分かれますが、今回はここまでにしたいと思います。

では今回のポイントです。

「ゴキゲン中飛車」の序盤は「5筋の位を早く取る」

積極性が魅力でもある「ゴキゲン中飛車」。いつでも攻めることができるように、▲5五歩の位はすぐに取ってしまいましょう。それに対し、居飛車が飛車先の交換を挑んできたら「8筋の交換には、強気に応酬」

△8六歩からの交換には5五歩の位を生かして▲5四歩から戦ってしまいましょう。玉は囲っていませんが、最後△5五桂に▲4八玉と、相手の攻めに応じて、玉を安全にできます。「ゴキゲン中飛車」は、序盤早々、激しい変化もあるので、駒組みの手順が大事になります。間違えないように、整理をしておいてください。では次回の急戦策もお楽しみに!

高野秀行六段

ライター高野秀行六段

1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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