富士山ドーン!――山田久美女流四段

富士山ドーン!――山田久美女流四段

ライター: 山田久美  更新: 2020年12月09日

 今年、新型コロナウィルスで世界が、日常が、生活様式が変わってしまった。
1月頃はSARSやMERSの時のように日本ではさほど影響はないだろうと思っていたが、横浜にクルーズ船が停泊するニュースを目にしてから怪しくなってきた。
それでもまだ、対岸の火事くらいの気持ちで普通に出かけていたが、あれよあれよとそれは広がり、連日のように情報番組で取り上げられるようになるとさすがに怖くなってきた。
そして、クルーズ船以外での感染者が発表され、心ないバッシングが起こり、電車でコホンと一つ咳が出ただけで周りの人に親の仇のような目で見られる。
品薄で手に入らないのだろうか?マスクをしていない人の近くは人気が少ない。
世の中が殺伐としていた。

 そんな今年もあとわずか。

 半年前から比べるとコロナに対する情報や対策は常識化され、まだまだ大変な状況ではあるけれど、少しずつ経済も回復しつつあり。
どうか皆様ご自愛いただきますよう。

さて、一年弱籠りっきりの日常で何を書く?
旅行は皆無、外食は2度ほど近所の焼肉、研究会はネット対局、役員会もzoom会議、大好きな買い物はスーパーとドラッグストアと百円ショップ。その他もろもろはネットショッピング...
おかげでポイント貯まりまくり。

 そうそう、それでも先日、紅葉が色づき始めた10月下旬に富士山を見に行きました。
朝ごはんを食べている最中、「今日はドライブがてら富士山でも見に行くか?」と、夫から急なお誘い。

 ふっ、ふっ、富士山ですかあ?と、少々驚きはしたものの、高速に乗って30分ほど走ると左手にド~ンと富士山が綺麗に見える場所があり、『ドライブがてら』ってことだから、もう少し走って絶叫マシンの聖地を眺めながらうどんでも食べに行くのか?くらいのつもりで出かけたのです。

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 雲ひとつなく、10月下旬にしては暖かい日で絶好のドライブ日和。
しばらく高速を走ったところで「新倉山浅間神社」ってナビいれて、と言われ、神社?は?富士急ハイランドの横で吉田うどん食べて富士山ド~ン!じゃないの?と思いつつ「に、い、く、ら...」とナビセット。

さあ~着いた、着いた。駐車場に車を止めて鳥居をくぐり...新倉山浅間神社に到着!
いやいや、違う。富士山見に来たんだよね?と目で訴える私に、上を指さす彼。
そこにはなんと!延々と続く石段があったのでした。

私「これ、登るの?」
夫「石段と坂道とどっちも行けるけど坂道の方がちょっと遠いかな?」
私「聞いてないし。富士山見に行くっていうから車乗ってるだけかと思って、靴、ヒールだよ」
夫「大丈夫、大丈夫。そんなに急な階段じゃないから」

って!他の人みい~んなスニーカーじゃん!
しかし、ここまで来たら登る一手!どんな富士山なのか見せてもらおうじゃないか! へ~ん、楽勝、楽勝。が、しかし、すぐに後悔することになる。
こんなに体力が、脚力が落ちているなんて...。
たぶん、3分の1くらいの所で一休み。半分くらいの所で同年代のご夫婦に道を譲り、あと何十段というところで初老のご夫婦と一緒に休む。しかも一人で。
夫は?というと、最上段で仁王立ちして(私にはそう見えた)早く来い!と。う~!
ゼーゼーハーハー言いながら、やっとの思いで398段の石段を、ヒールで(!)登り切ったのでした。
五重塔を左手に奥の展望台まで辿り着くと...何という事でしょう!絶景が待っていてくれました。

富士山ド~ン!私ちっちゃっ(笑)

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私のシリーズ

山田久美

ライター山田久美

現在、女流棋士会会長を務め、女流棋界を牽引する。タイトル戦に2度挑戦。特に、第22期倉敷藤花戦では、47歳8カ月での女流タイトル戦登場がこれまでの記録を更新し、尚且つ同時に四段昇段も決め、話題になった。

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