ライター谷川治恵
想うこと――谷川治恵女流五段
ライター: 谷川治恵 更新: 2021年02月19日
思いもかけぬコロナ禍で不自由な暮らしとなってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。徒然なるまゝ長く有難き女流棋士生活を振り返ってみたいと思います。
女流棋士として
私が女流棋士になったのは昭和51年9月です。東京将棋会館が新築されて、間もない頃でとても綺麗な建物だったのを覚えています。ちょうど10人目の申請で第3期生となりました。当時女流棋戦は報知新聞社主催の女流名人位戦のみで、10人が紅白リーグに分かれて指して年間4局で終了という時代でした。
8大棋戦を擁し、現役棋士が60名を超す現在とはまさに隔世の感があります。棋力の面でも奨励会三段になった女性が3名も誕生してとても嬉しく思っております。
「女流棋士との親睦将棋会」にて
私自身は長くはない現役生活でしたが、女流三段から120勝して女流四段に昇段できたのが唯一の誇りです。
普及の大きな三本の柱
普及面では三本の大きな柱に支えて頂きました。先ずは東京国税局将棋部の皆様。年号が平成に変わってすぐの頃から昨春まで実に30余年に渡ってお世話になりました。毎月定例会に加えて全管大会や合宿など楽しい思い出は尽きません。
職団戦にもご参加頂きいつも応援に伺っていましたが、会場でお会いした棋士の方々に「生徒さん達優秀だね。貴女より強いでしょ。」と図星を指されてあわてたこともありました。
毎回3チームないし4チームの出場でA級3位を二度経験しています。師範の頼りなさにもかかわらず大健闘して下さって嬉しい限りです。職団戦が再開されて応援に行くのを楽しみにしています。
そして毎月2回伺っている将棋サロン荻窪。早いもので25年を越えるお付き合いとなります。こちらのサロンは一般のお客様の他にプロ棋士、奨励会員、研修会員そしてお子様達で賑わっています。サロン出身のプロ棋士、女流棋士も多くいます。
面倒見の良い席主の新井さんはいつも冗談を言って笑わせていますが、将棋普及に対するお気持ちは強く熱く、そのお人柄を慕っていらっしゃる方も多いです。一人一人のお客様を本当に大切になさっていて、いつも感服しております。
指導対局をさせて頂きながらつくづく「将棋は文化なんだ」と感じる瞬間があります 。
温かい方々ばかりのこの場所に、是非お越し下さい。きっとご満足頂けるものと思います。
三本目の柱は小金井棋友会。こちらはもっとも若い頃からお世話になっております。
多いときは100名近い会員数でした。毎週土、日に集まって腕を磨いていらっしゃいます。盤寿81才のお祝いを元気に迎える方が多く、将棋は健康に良いものだと実感します。渡辺明名人のお父様も入会されています。
将棋大会の他にお花見や公民館まつり、カラオケなど地元の気楽さで楽しい時を過ごさせて頂いております。
他にも書ききれない多くの方々にご親切にして頂きました。皆様に少しでもご恩返しができるよう、これからも将棋の普及に努めてまいりたいと存じます。
写真提供はすべて本人