めまぐるしい変貌を見せる将棋界の近未来を、谷川九段、森下九段、木村九段が語り合う!3年後の覇者は一体誰だ!【将棋世界2018年11月号のご紹介】

めまぐるしい変貌を見せる将棋界の近未来を、谷川九段、森下九段、木村九段が語り合う!3年後の覇者は一体誰だ!【将棋世界2018年11月号のご紹介】

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2018年10月03日

将棋世界のご紹介

豊島将之新棋聖の誕生により、将棋界は31年ぶりに複数冠不在の状況になった。

1987年(昭和62年)、中原誠名人(40)、福崎文吾十段(27)、桐山清澄棋聖(40)、谷川浩司王位(25)、塚田泰明王座(22)、高橋道雄棋王(27)、中村修王将(24)と7タイトルを7人で分け合い「戦国時代」と呼ばれた。そして2018年、叡王戦が加わった現在は、8人のタイトルホルダーが屹立する、いわば「" 超" 戦国時代」である。

この混沌の時代はこれからも続くのか、それとも棋界の覇者が現れるのか。めまぐるしい変貌を見せる将棋界の近未来を、谷川九段、森下卓九段、木村一基九段が語り合う。果たして3年後の将棋界は!?

※この記事は将棋世界 2018年11月号(10月3日発売)に掲載の「将棋界近未来シンポジウム 谷川浩司九段×森下卓九段×木村一基九段 3年後の覇者は誰だ!」の一部を編集したものです。全文は将棋世界 2018年11月号でお読みください。

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羽生世代を中心に回った 四半世紀

――豊島棋聖の誕生により、将棋界はかつてないほどの混戦の時代を迎えています。この状況はいつまで続き、そして今後どの方向に向かっていくのでしょうか。今回は3年後の将棋界について予想していただきますが、その前にかつて7人のタイトルホルダーがいた昭和62年当時の将棋界と、羽生善治竜王を中心として回り続けたこの四半世紀のことをお聞きします。なぜ羽生世代はこれほど強くあり続けられるのでしょうか。

谷川 羽生さんや羽生世代の強さは、まずはプロになる前、アマチュア時代からの厳しい戦いを続けてきたことにあります。彼らは10代、20代のときから戦いながらいろいろな財産を築き上げてきた。序盤から持ち時間を惜しみなく使い、ひたすら考える。答えの出ない局面で1時間、2時間と考え、可能性を探り続けてきたことが、長く活躍し続けることにつながっていると思います。

森下 昭和62年当時、私はプロ4年目でした。それまで中原先生が圧倒的な存在でおられて、大山先生(康晴十五世名人)も相変わらず強く、そこに谷川先生が現れた。そのあと中村修九段、高橋道雄九段、南芳一九段、塚田泰明九段、島朗九段といった自分と4、5歳しか変わらない方々が、あっという間に中原先生や米長先生(邦雄永世棋聖)に勝っていった。

谷川先生が財産を積み上げてきたとおっしゃいましたが、羽生世代の方々は55年組、私たちの世代と比べても、将棋に対する打ち込み方が非常にシビアでした。誰もが、将棋に勝つことしか眼中にないというか、そのことがごく当然のこととしてある。ある羽生世代の方は、羽生さんを見ているうちにみんなが引き上げられたと言っていましたね。

木村 私はこの当時はプロでなく、言えることは多くないのですが、当時のタイトルホルダーのお名前を見ると個性的だなと思いますね。棋風も得意戦法もバラバラ。研究よりも力で負かす、そういったところがあったので、そこはいまと違うのかなと思います。羽生世代の強さというのは谷川先生がおっしゃられたように、正解が何か分からない、わけの分からない局面をただひたすら考える、それが読む力を磨いたのだと感じます。いまは持ち時間を残して終局ということが結構あって、終盤に時間を残すことは勝つための戦略としてはうなずけますし、当時もそういう考え方はあったでしょうが、そこをあえて、時間いっぱい考え抜いたことは無駄ではないのではと思います。

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答えが出ない局面を延々と

―十分に研究して対局に臨み、終盤に時間を残す戦略は、非常に合理的に思えますが、その傾向に何らかの危うさを感じられているのでしょうか。

谷川 羽生世代でも森内さんは想定局面までは時間を使わず指すことはありますね。新しい局面が現れると長考して、時間いっぱい使うというのが彼のスタイルです。いまでは豊島さんが近いですね。将棋は展開によって突然終わってしまうことがあるので、あくまで目安ですが、私は持ち時間の9割くらいは使いたいと思っています。最近の若手は半分くらいしか使わない人もいて、それで勝てばいいですが、負けるのは先ほど言った財産を減らしていると思うんですよ。人によって主義があるでしょうから、考えを押しつけるわけではないですが、長く活躍できるのだろうかと思うことはあります。

―対局中に考える1時間、2時間が、力をつけるということでしょうか。

森下 研究会、あるいは1人で考えることもありますが、やはり公式戦で考えるのは密度が違います。

木村 時間の使い方に関しては、序盤の研究が物をいうようになったことが大きいと思います。昔は、序盤は研究したほうが有利ではあったけど、勝負はまた別という感じだった。しかしここ近年は、例えば横歩取りの変化では詰み、あるいはそれに近いところまで研究されていることもあって、はまったら逆転不可能ということが多くなってきていますね。いまの時間の使い方のほうが効率はいいと思うんですけど、当時のほうが楽しかった気はします。答えの見えないものを考える楽しさがありました。

谷川 30年前は私は当事者だったのですが、現在の状況と比較してみると、驚くほど共通点が多いんですよ。当時は中原時代が10年ほど続いて、昭和57年に中原先生が名人を失ったことで戦国時代が始まりました。その中で、20代が出てくるわけですが、やはりタイトルを7人で分け合ったことは、自分に責任があったのかなと思いますね。私はその4年前、昭和58年に名人を取ったわけですが、その後の4年間はタイトル戦に出たのが年に1回から3回、タイトル数は1つかゼロという状態で、安定感がなかった。20代では私と高橋さんが昭和58年にタイトルを取っているんですが、そのほかの福崎さん、塚田さん、中村さんは、タイトルホルダー7人誕生の直前の1、2年で取ったというのも現在の状況と似ています。

森下 なるほど。確かに中村太地君、菅井竜也君、髙見泰地君に、豊島君はここ2年のタイトルですね。

谷川 それと、いちばんの共通点は、昭和62 年当時、羽生さんは棋士になって2年目くらいだった。で、今回も藤井君が棋士になって約2年と。成績も羽生さんが2年で100局ほど指して80勝くらい挙げた。藤井君はもっと勝っていて85勝している。そのあたりも共通しているんです。

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〝超〟戦国時代突入!

―谷川九段は以前、豊島棋聖を「タイトルを取らなければいけない人」と発言されていました。5回目の挑戦での初タイトルとなったわけですが、今回の奪取劇をどうご覧になっていましたか。

谷川 彼はここ1、2年、タイトル戦にもずいぶん出て、高い勝率を上げていましたから。取って驚くことはないし、ここで1つ壁を越えたので、2つ、3つと取る可能性もあると思っています。

森下 豊島さんは私が理事を務めた平成17年に奨励会三段でした。関西だったので直接は見ていませんが、すごい天才少年がいると聞いていた。東京では広瀬さん(章人八段)がやはり天才だといわれていて、豊島・広瀬時代となるのかなとも思っていました。もっとタイトルを取ると見ていたので、ここまで1期ずつというのが、むしろ不思議な気持ちです。

木村 私は今回の棋聖戦はどっちが勝つか分からないと思って見ていて、正直、ああ本当に勝っちゃったな、くらいの気持ちでした。ただ、豊島さんは年々序盤戦術に長けてきていて、もちろん本当のところは分かりませんが、どれほど研究しているか分からないと周囲に感じさせるものはあった。相手にとっては不気味さを感じるし、そういったところも高い勝率を挙げている要因かなと感じます。

谷川 豊島さんに関しては謎ですね。研究会もやらず1人で勉強しているし、誰にも分からないのではないでしょうか。それが不気味さというか、怖さというか。どの将棋も研究されているんじゃないかという圧力を感じるんだと思います。

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座談会はここから、勉強方法の変遷、注目棋士についてへと続きます。そして3者が思い描く3年後、2021年版の棋界地図は??? 全文は将棋世界 2018年11月号でお読みいただけます。

将棋情報局(マイナビ出版)

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