女流名人戦挑戦者インタビュー 谷口由紀女流三段「内容よりも勝利」~将棋世界2020年2月号より

女流名人戦挑戦者インタビュー 谷口由紀女流三段「内容よりも勝利」~将棋世界2020年2月号より

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2020年01月10日

第46期岡田美術館杯女流名人戦(スポーツ報知主催、ユニバーサルエンターテインメント特別協賛)五番勝負で里見香奈女流名人に挑戦する谷口由紀女流三段のインタビューをお送りする。8勝1敗で勝ち抜けた女流名人リーグを振り返り、タイトル戦で3度目の対戦となる里見女流名人との五番勝負への意気込みなどを語った。

今期のリーグを振り返って

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──今期の女流名人リーグの初戦は伊藤沙恵女流三段。ここまで7連敗の強敵との対戦でした。

「初戦が大きいとは思っていました。女流名人リーグは前半で勝てたことがあまりない。スタートが悪くて、早くも残留争いみたいなことが多い。相手が誰というより、リーグの序盤をどう乗り切るか。まずはスタートダッシュを切りたい。大きく負け越している伊藤さんに勝てれば勢いに乗れる、という気がしていた」

──相振り飛車の戦いで、伊藤女流三段の攻めを受ける展開になりました。

「序盤で損な動きをしてしまって、苦しい戦いになったが、ポッキリと折れない指し方ができた。印象に残ったのは△3三桂(図)としたところです」

【図は△3三桂まで】

──タダですが、▲同竜なら△5五馬で竜飛車取りですね。

「遊んでいた2一桂を活用し、竜の利きを遮断できて、先手玉が見えてきた。次は△3五桂が狙いです。時間もなかったので難しいとは思っていましたが、もしかしたら指せるかもしれない、と自信が持てました」

──スタートダッシュに成功し、7連勝。挑戦権は意識し始めましたか?

「7連勝し、リーグも終盤になってきて意識しました。ただ、伊藤さんがピッタリとついてきたので、残り2戦も勝って全勝でないと挑戦はダメだろう、と思っていました」

──8回戦の中村真梨花女流三段戦でリーグ初黒星を喫しました。

「気負わずに平常心で指せていたとは思いますが、ものすごい悪手を指したわけではなく、何が悪かったのか分からない、敗因不明の一局でした。当日は内容を振り返っていたので、初黒星を喫したとは頭にありませんでした。翌日に、7勝1敗になった、伊藤さんに並ばれた、と考えてしまいました」

──焦りとかはありましたか?

「8回戦から9回戦までが1カ月半ほど空いていて、その期間がしんどかったです。絶対勝たなきゃいけないし......と、いろいろと考えてしまう。挑戦権に絡んだことがなかったので初めての感覚。早く対局日が来てほしかった。いままで挑戦権を獲得したのはトーナメント戦で、他の対局の結果が関わってくるという状況は初めて。伊藤さんの結果はともかく、自分は勝つしかないと思っていました」

──プレーオフも意識していた?

「覚悟しました。対局が始まれば気負い、プレッシャーはなく集中できた」

──9回戦の藤田綾女流二段戦に勝利。

「伊藤さんの対局より早く終わり、控室で感想戦をしていました。その場では伊藤さんの対局の話題がなく、どういう状況なのか分からなかった。感想戦が終了した頃に、伊藤さんが負けた、と記者の方が控室に告げに来ました」

──そのときの心境は?

「最終戦までの期間が長かったので、やっと終わった、という気持ちが強かったです。翌日に里見さんと戦うんだ、とタイトル戦へ気持ちをシフトしました」

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──女流名人戦は初挑戦です。

「女流名人リーグは4~11月と長い期間戦うので、安定した成績を残さないといけない。気持ちの部分がけっこう大きい。年間を通して崩れなかった。他棋戦で大事なところで負けてしまって気持ちが沈んでしまうときもあったが、気持ちの切り替えがうまくできた。リーグのメンバーを見たときに、タイトル経験者も多く、棋戦優勝者もいるので、厳しいと感じました。よく勝てたなと思います。その方々に勝って挑戦権を獲得できたので自信になりました」

──女流名人戦の印象は?

「歴史もあり、勢いで挑戦できる棋戦ではないと感じています。総当たりのリーグなので、力がないと厳しい。いつかは挑戦したいと思っていた」

続きは『将棋世界』で

このインタビューの続きは『将棋世界2020年2月号』の特集、女流名人戦挑戦者インタビュー 谷口由紀女流三段「内容よりも勝利」でぜひお読みください。

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将棋世界2020年2月号

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