▲3五歩と突いてはいけない?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め【第50回 矢倉の崩し方】

▲3五歩と突いてはいけない?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め【第50回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年08月22日

今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲3五歩まで】

いま、先手が▲3五歩と仕掛けたところです。前回のコラムでは、ここで後手が放置したらどうなるのかを見ていきました。後手がなにも対応してこなかった場合は、平凡に▲3四歩と取り込めば、△2四銀は▲2五歩、△3四同金は▲3五歩△2四金▲2五歩で、いずれも後手の金か銀が死ぬことになってしまいます。△3四同銀▲3五歩△4五歩がまだしもですが、▲同桂△同銀▲同銀で銀桂交換の駒得のうえ、手順に4六の銀が進んで、これも先手大満足の展開となります。よって、前回のコラムの結論は、第1図では後手は▲3五歩を放置することはできないということでした。

では、今回は後手が対応してきた場合を考えてみましょう。第1図から桂跳ねを防ぐ△2四歩はどうでしょうか? 前回同様に▲3四歩△同銀▲3五歩にはあいたスペースに△2三銀(第2図)と形よく引くことができます。

【第2図は△2三銀まで】

これは次の△3六歩がわかっていても防げず、先手失敗の図となってしまいます。

では、△2四歩と突かれたので、▲2八飛と2筋に飛車を戻す手も考えられます。次に▲2五歩△同歩▲同桂となれば調子がよいですが、あいにく手番は後手。この瞬間に△3五歩(第3図)と歩を取られると、やはり次の△3六歩が受かりません。

【第3図は△3五歩まで】

第3図から▲2五歩は△同歩なら▲同桂△2四銀▲3五銀でよいですが、△3六歩と突かれると桂損が確定してしまいます。もう少し進めると、▲2四歩△3七歩成▲同銀に△2五歩(第4図)が受けの手筋です。

【第4図は△2五歩まで】

第4図から、▲2五同飛は△3四金▲2九飛△2四銀と大きな拠点となっていた2四の歩を払われてしまいますし、▲3六銀も△2四銀▲2五銀△同銀▲同飛△2三歩で銀交換はできたものの、桂損は大きく先手失敗ですね。第4図の△2五歩に代えて△3四金ならば、▲3六銀△2四銀(△2四金は▲3四歩が痛打)▲3五銀△同金▲同角でなかなかうるさいのですが。

では、第1図から△2四歩と突かれると先手はうまくいかないのでしょうか? これでダメですと、そもそも▲3五歩と突く手が問題だったということになります。ですが、まだ手はありますよね? そうです。▲2五歩(第5図)と突く手です。

【第5図は▲2五歩まで】

この手がダメなら第1図の▲3五歩が問題ということになります。次回から、第5図からの攻防はどうなるのかを見ていきましょう。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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