7筋の位を取る!「玉頭位取り」の特徴と手順をご紹介!【玉の囲い方 第39回】

7筋の位を取る!「玉頭位取り」の特徴と手順をご紹介!【玉の囲い方 第39回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年07月14日

3回前のコラムまでは「5筋位取り」、前回まではその1筋隣、「6筋位取り」についてご紹介しました。今回ももう1筋隣にずらした位取りをご紹介します。5→6ときたので、次は「7筋位取り」という名称と思うところですが、そうは呼びません。では、なんと呼ぶのか? 「玉頭位取り」といいます。さて、なぜ7筋ではなく、玉頭なのか? こちらはどういう囲いなのか? まずはそちらを見ていきましょう。

囲いの特徴

第1図をご覧ください。

【第1図は▲7六銀まで】

平成22年12月10日、第69期順位戦B級2組、▲中川大輔八段ー△窪田義行六段戦(肩書は当時)です。これは囲いの完成図ではなく、まだ駒組み途中ですが、玉の頭の位を取って銀で確保していますよね。それで玉頭位取りという名称になっています。

実戦では第1図から、△6三金▲6五歩△同歩▲同銀△6四歩▲7六銀△7一玉▲8六歩△5四歩▲4八飛△8四歩▲7七角△8三銀▲6七金△7二金▲8八玉△7四歩▲同歩△同銀▲7五歩△8三銀▲7八金(第2図)と進みました。

【第2図は▲7八金まで】

先手は6筋、後手は7筋の歩を交換してお互いに一歩を手持ちにしましたが、後手はいずれ7四の地点に桂や銀などを打たれる傷ができており、7筋の位が大きいことがわかると思います。かといって、7筋を交換しないのも7三へ桂を飛ぶ手がなく、そのぶん後手の玉頭(8筋)の守りが手薄くなってしまいます。一例を挙げると、第2図の形から先手の持ち駒に香があった場合、▲8七香と打ち、▲8五歩△同歩▲8四歩△同銀▲8五香と攻めていく順があります。そのときに、後手が7三へ桂を跳ねていれば先手は8五の数が足りないのですが、7筋を交換していなければこのように7六銀型を生かして玉頭から攻め込んでいくことができます。それでは、先手側の駒のみを配置して、玉頭位取りを組むまでの手順を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順

初手から、▲7六歩、▲2六歩、▲4八銀、▲5六歩、▲6八玉、▲7八玉、▲5八金右、▲5七銀、▲9六歩、▲6八銀上、▲7五歩(第3図)。

【第3図は▲7五歩まで】

舟囲いに組んだ後、左銀を6八に上がってから▲7五歩と位を取るところがポイントです。銀は7七に上がる前に7筋の位を取ったほうがよいでしょう。これは次回説明します。第3図から、▲7七銀、▲7六銀(第4図)。

【第4図は▲7六銀まで】

「位を取ったら位の確保」の格言通り、銀を繰り出して7筋の位を支えます。これは5筋位取りや6筋位取りと同じですね。ここから玉を7八のまま囲う形もありますが、本コラムではより堅固に8八へ囲う順を紹介します。第4図から▲6六歩、▲7七角、▲6七金、▲8八玉、▲7八金(第5図)。

【第5図は▲7八金まで】

第2図は第5図から▲8六歩を突いてある形ですが、まずはここまで組めれば相当に強く戦える形です。次回では、組む際の注意点と発展形をご紹介していきます。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。

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