ライター一瀬浩司
中飛車に困っている方は、ぜひ試してみては?「対中飛車角筋不突き左美濃」の組む際の注意点と発展形
ライター: 一瀬浩司 更新: 2020年02月08日
前回のコラムでは、「対中飛車角筋不突き左美濃」の組み方を見ていきました。今回は、組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。まずは、囲いの組むまでの手順の復習です。初手から▲2六歩、▲2五歩、▲4八銀、▲6八玉、▲3六歩、▲3七銀、▲4六銀、▲7八銀、▲7九玉、▲5八金右(第1図)。
【第1図は▲5八金右まで】
それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:第2図をご覧ください。
【第2図は▲7八銀まで】
ここで△5二金右や△3二銀なら普通ですが、なにか指したくなる手はないでしょうか? △6五銀と出れば7六の歩取りが受からない形ですよね? しめた! と思うところでしょうが、実際はどうでしょうか? 実はこれは先手の待ち受けるところ。▲6八角と引き、△7六銀▲4六角(第3図)と進むとどうでしょう?
【第3図は▲4六角まで】
第3図は△8六歩と突けば8筋は破れそうですが、そこで▲5四歩と突かれると4六の角が8二の飛車に当たり、後手はしびれてしまいます。第3図で△9二飛としても、▲5四歩△同歩▲同飛とさばかれると、次に▲7四飛~▲8四飛の狙いもあり、やはりこれも後手苦しいですね。
△6五銀に対して▲6八角~▲4六角というのは振り飛車のよくある反撃手段ですので、この筋には気をつけましょう。うまくいく場合ももちろんありますが、やはり少々の隙があったとしても、はじめのうちはしっかりと玉の囲いを優先したほうがよいでしょう。次に囲いの発展形です。
囲いの発展形:第4図をご覧ください。
【第4図は△3二金まで】
第1図から、3三に角を上がり、銀冠に発展させた形です。こうなると、先手から仕掛けることはなかなか難しく、後手としては満足な序盤戦となるでしょう。また、場合によっては△4五歩▲同歩△5五銀や、△5四歩▲同歩△同金と5筋の位を目標に動いていくこともできますね。次に第5図です。
【第5図は△7四歩まで】
組み方の手順では、超速のように6四に銀を上がる形を見ていきましたが、6三に銀を上がる形も有力です。こう組めば銀が下なので攻撃力は落ちる反面、5筋を交換されることがないので手堅く組めるともいえますね。指され始めたばかりなので、いろいろと試されている状況です。中飛車に困っている方は、ぜひ試してみられるといいと思います。
以上で平手での囲いの組み方のコラムはひと通りご紹介しましたがいかがだったでしょうか? こんなに囲いの種類がたくさんあったのかとおどろかれた方も多いことと思います。なかには、面白い囲い方もありますので、大会などの一発勝負の秘策として使われるのもよいと思います。
118回もの長い連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。
玉の囲い方
監修杉本和陽四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。