ライター一瀬浩司

悪形にならないように相手の動きに注意しよう!金無双の発展の方法と組み手順の注意点とは?
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年04月06日
前回のコラムでは、相振り飛車での「金無双」についての組み方をご紹介しました。今回は、組む際の注意点などを見ていきましょう。
それでは、金無双に組むまでの手順の復習です。
初手から、▲7六歩、▲6六歩、▲6八銀、▲6七銀、▲7七角、▲8八飛、▲4八玉、▲3八玉、▲5八金左、▲1六歩、▲4八金上、▲2八銀(第1図)。
【第1図は▲2八銀まで】
それでは、後手の駒を配置して、組む際の注意点を解説していきます。
組む際の注意点
第2図をご覧ください。【第2図は△7一玉まで】
第2図から、▲4八玉と上がると、△3六歩と突かれる手がやや気になります。相振り飛車においての美濃囲いに組む際の注意点でも解説いたしましたが、▲3六同歩には△5五角と香取りに飛び出されて、早くも先手が指しにくくなってしまいます。香取りを受けるには▲3七桂しかありませんが、△3六飛▲2八銀△3二飛となると、次の△3六歩が受かりません。
金無双に組むつもりであれば、第2図では先に▲2八銀と上がってから▲4八玉とするほうが、無難な組み方になります。続いて、第3図をご覧ください。
【第3図は△3四銀まで】
相振り飛車になりそうな形ですが、ここで、▲4八金上や▲2八銀とすると、△4二玉など、居飛車にされて先手の囲いがあまりよくない形になってしまいます。対して、後手は玉頭位取りの形(また後のコラムで解説いたします)に組むことができます。相手が飛車の動きを保留してきましたら、こちらも▲8六歩や▲7五歩など、もう少し囲いの手を保留して、△2二飛と相手も飛車を振ってきたときに▲2八銀として金無双に組んでいきましょう。
囲いの発展形
2八の銀は重要な守り駒ですが、場合のよってはどんどん繰り出していくこともあります。第4図をご覧ください。
【第4図は▲2六銀まで】
▲1七銀~▲2六銀と2八の銀を上がっていったところです。次に▲3五銀と歩を取る手を狙っていますが、△3四飛とすると▲2五銀で飛車が死んでしまうため、後手は3五の歩を守る術がありません。
第4図は、後手の駒組みがまずかったので大成功の図になりましたが、このように後手の飛車を目標に銀を繰り出していって、攻撃陣にプレッシャーをかける指し方は非常に有力になることも多いです。
また、▲1七銀と上がっただけでも2八の壁が解消され、玉が一気に広くなった感じもしますよね。また、第5図をご覧ください。
【第5図は▲2七銀まで】
△3五歩と伸ばしてきた手に対して▲2七銀と上がったところです。このように、銀冠のようにして3筋交換を防いだりする形に組むことも有力です。後手が早くに△3五歩と伸ばしている形では、▲2六歩と突いたときに△3六歩▲同歩△同飛とされて2六の歩を狙われてしまいますが、3筋を伸ばすのが遅ければ、このように組んで、さらに▲2八玉~▲3八金として銀冠に囲いをチェンジしていくこともできます。1七に銀を上がった形のように、これも壁形が解消されて玉が広くなりましたよね。
以上のように、2八の銀を1七や2七に上がっていって発展させていく形が、金無双では有力となります。
玉の囲い方


監修杉本和陽四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。