ライター一瀬浩司

たたきの歩で端を破ろう!端を詰めているときの少し工夫した攻め方【矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年04月07日
今回のコラムも、矢倉の攻め方のご紹介をしていきます。それでは、第1図をご覧ください。
【第1図】
端に駒が集中している形ですが、端歩を突き合っているのではなく、先手が端を詰めている形ですので、逆に攻めにくくなってしまっています。さて、この図からはどう攻めていくのがよいのでしょうか?
端が攻めにくいのならば、3筋方面はどうでしょう? ▲3五歩△同歩▲2四歩が習いのある攻め方ですね。△2四同銀なら、▲3五銀△同銀▲同角と一歩損の代償に銀交換をすることができます。しかし、△2四同歩と取られると、▲3五銀と出ても△3四歩(第2図)と打たれて攻めが続きません。
【第2図は△3四歩まで】
2八に飛車がいないため、▲2四銀と出ても△同銀▲同角△同角で先手の駒が足りませんね。よって、3筋方面からはなかなかうまく手を作れなさそうです。
では、せっかく端に駒が集中していることですから、第1図から▲1四歩と攻めてみましょう。△1四同歩▲同香△同香のとき、▲同飛は△1一香(第3図)で飛車の行き場がなく失敗です。
【第3図は△1一香まで】
第3図から▲1三歩としても、△同香▲同角成△同桂で飛車は助かりますが、これ以上攻めはなく、角香交換の駒損で失敗となります。△1三同桂以下、▲1八飛といったん引き揚げて▲1四歩を狙っても、△1四歩と犠打を打たれると、まだもう一枚後手には持ち歩がありますので、手を稼がれてしまいます。また、▲1八飛のときにすぐ△2七角と打たれて飛車をいじめられても、先手が芳しくありません。
よって、少し工夫が必要になってきます。第1図から、▲1四歩△同歩▲同香△同香のときに、すぐに▲同飛と取り返した手が失敗のもととなる悪手でした。すぐに取り返さず、▲1五歩(第4図)と打つのが損をしない攻め方になります。
【第4図は▲1五歩まで】
第4図から、△1五同香なら、▲同銀と取り返せば銀が進出していけますし、▲1四銀~▲1三銀成と突進していく手が単純ながら厳しく残っています。第4図から、△1三歩と辛抱する手には▲1四歩△同歩にもう一度▲1五歩(第5図)と合わせれば、後手はまた△1三歩と打つことはできませんし、△1五同歩としても▲同銀で、第4図から△1五同香▲同銀と進んだ局面と同じ図になってしまいます。
【第5図は▲1五歩まで】
第5図から△1五同歩と取らずに別の手を指して、▲1四歩△1二歩と辛抱しても▲1五銀と出て、▲2八飛~▲2七香~▲2四歩や、▲2四歩△同歩▲2五歩△同歩▲3七桂など、今度は玉頭からの厳しい攻めが続いていきます。
また、第1図からは▲1四歩△同歩にすぐに▲1五歩と打つ攻め方もあります。△1五同歩なら▲同銀として攻めていけますし、後手が放置するのも▲1四歩△1二歩と取り込んだあとに▲1五銀と銀を進出していくことができます。後手に香を持たれると玉頭から厳しい反撃がありそうなときは、こちらの攻め方をオススメします。
矢倉の崩し方


監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。