羽生善治竜王VS藤井聡太六段戦にも出た!上級者を目指すときに覚えておきたい手筋とは?【将棋の格言】

羽生善治竜王VS藤井聡太六段戦にも出た!上級者を目指すときに覚えておきたい手筋とは?【将棋の格言】

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年04月26日

今回も歩を使った手筋の格言です。『焦点の歩』と略すことも多いのですが、まず『焦点』とは何でしょう。『焦点』は複数の駒が利いている場所のことで、『焦点の歩』はその地点に歩をたたくことです。金銀の形を乱す際や、飛角の利きを止める場合などに使われます。

【第1図】

まず、第1図です。手筋の見本としてあまりにも有名ですが、これが焦点の歩です。

次に△2三歩と受けられては攻めが続かなくなりますが、ここで▲3三歩が好手です。飛、角、桂と複数の駒が利いていますが、これで後手はしびれています。▲3三歩に△同飛は▲2二飛成、△同角は▲2一飛成で竜を作りながら駒得で大成功。

また、▲3三歩に△同桂や△4二飛のように横に逃げる手には▲3四飛と銀をタダで取ることができ、これまた大成功です。焦点の歩はギリギリで保っている陣形のバランスを崩すのに、非常に効果があります。

【第2図】

次は矢倉崩しでおなじみの筋です。3筋が切れたままの矢倉に対しては▲3四歩が急所になります。これまた金と銀の焦点です。後手は金か銀のどちらかで取るしかありませんが、どちらで取っても▲3五歩で先手は駒得に成功します。逆に後手を持っている形になったら、▲3四歩を打たれる前に△3四歩とキズを消しておくと良いでしょう。

【第3図】

第3図は「ダンスの歩」と呼ばれる手筋です。このダンスの歩も金銀の焦点が急所になっています。ここから▲4三歩成△同金右▲4四歩△5三金▲5四歩△5二金▲4三歩成△同金左▲4四歩△3三金▲3四歩△3二金に▲4三歩成とすれば、どの駒で取っても▲4四歩で金駒を取ることができます。堅い金銀の連結も、焦点をうまく攻めれば切り崩せることもある例です。

【第4図は▲8八銀まで】

第4図は横歩取りの出だしからの変化です。△8八角成▲同銀に代えて△3三角がプロ間で多く指されている変化ですが、この△8八角成も昔からある変化です。第4図では△2八歩からの△4五角戦法や、△7六飛の相横歩取りが有名ですが、ここで△3八歩と打つ作戦もあります。

▲3八同金なら△4五角と攻めて壁になっている分、△4五角戦法より得ですし、▲3八同銀なら△4四角と打って、後の△2八歩などを狙いに戦います。焦点をたたいて対応を見て、攻め方を変える例です。

【第5図は△5五銀まで】

第5図は話題になった羽生善治竜王藤井聡太六段の朝日杯準決勝。▲5五同銀と取り返す前に一発▲4三歩の王手が焦点の歩です。かわすのは拠点になりますし、△4三同玉も当たりが強く指しにくいです。また、△4三同金右も後に▲6三角が生じます。実戦は△4三同金左と対応しましたが、▲2三飛成が残って先手ペースになりました。これも相手の応手を先に聞いておく手筋です。

焦点の歩は上級者になるのに覚えておきたい手筋です。歩をたたいて敵陣を崩すことや、相手の対応を見てから指し手を決めることを考えれば、攻め筋が広がります。

将棋の格言

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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