藤井七段がピンチで見せた受けのテクニック!藤井VS増田の好局から凌ぎの格言を学ぼう!【将棋の格言 第28回】

藤井七段がピンチで見せた受けのテクニック!藤井VS増田の好局から凌ぎの格言を学ぼう!【将棋の格言 第28回】

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年10月09日

将棋の格言

今回は玉に関するしのぎの格言を見ていきます。自玉に危険が迫った時に、覚えておきたい考え方です。

【第1図】

第1図、先手玉の近くにと金が迫っています。次に△4七銀と上から押さえられてしまうと必至が掛かってしまいます。また、▲5八歩と受けても同様に△4七銀で、▲5七歩に△5八金があるため受けになっていません。敵玉を詰めろ詰めろで寄せきれるような局面なら攻めても良いのですが、そうではない場合にここに手が行ってほしいという手があります。それが▲3八玉で、「玉の早逃げ八手の得」です。一つ玉を逃げるだけで、グッと安定感が増しました。後手は△4七銀▲2八玉△4八とのように攻めるくらいでしょうが、先手には1七~2六への逃走ルートがあるため、詰めろすら掛かりません。攻める時は「玉は下段に落とせ」の格言を見ましたが、受けに回る時は反対の方針を考えると参考になります。

「玉の早逃げ八手の得」以外に、「中段玉は寄せにくし」、「桂頭の玉寄せにくし」の格言があります。どちらも自玉への寄せを難しくして、終盤の競り合いに強くなれる格言です。

【第2図は66手目△8六香まで】

第2図は藤井聡太四段と増田康宏四段(いずれも当時)の炎の七番勝負第1局。藤井フィーバーのきっかけともなる一局です。先手玉は飛と香2本で狙われており危険な状況ですが、藤井四段は見事にピンチを切り抜けました。図から▲9七玉△8四飛▲8五歩が受けのテクニック。△7七香成に▲8六玉で「中段玉寄せにくし」です。玉を中段に上がることによって、7三のと金が守りの駒として働いてくるのも見逃せません。以下△7八成香▲8四歩△8九成香▲7五玉で、先手玉は捕まらなくなりました。

【第3図は99手目▲4二飛成まで】

続いて監修の髙﨑一生六段の実戦から。第3期叡王戦六段予選の大石直嗣六段との一局。双方一分将棋の終盤戦、後手が苦戦ですが、粘るための一手が△5四玉です。6三の地点のまま受けに回っても▲8二歩成などと金を作られた時にも近いので、中空に逃げ出すのが受けのコツです。これで後手玉も簡単には寄らなくなりました。以下▲7四歩△7一香とと金を作らせないように攻防で受けて、最後は後手が逆転勝ちを収めました。

【第4図は119手目▲7二龍まで】

第4図は第19期竜王戦七番勝負第3局の▲佐藤康光棋聖△渡辺明竜王(いずれも当時)の一戦です。渡辺竜王が2連敗で迎えた第3局、2二にいた後手玉がここまで追い詰められて絶体絶命に見えますが、意外にも「桂頭の玉寄せにくし」でした。ここからまず△8五桂と打ちます。攻めながら8五の地点を埋めており、これで後手玉は桂さえ渡さなければ絶対に詰まない形になりました。以下▲7九銀△7八銀成▲同銀△7九角!が強烈な寄せ。▲同玉△6九金▲同銀△同と▲同玉△6七銀(第5図)で寄り筋に入りました。「桂頭の玉寄せにくし」の格言と、「玉は下段に落とせ」の格言がミックスした展開です。途中の▲7八同銀では▲7八同金△6七金▲6八銀打なら先手玉に詰めろが続かず、勝ち筋でした。

【第5図は130手目△6七銀まで】

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生六段

棋士・六段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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