ライター一瀬浩司
オススメの4八金型!相振り飛車での穴熊の組み方とは【囲いの作り方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年03月05日
今回のコラムでも相振り飛車での囲いについてご紹介します。前回までの二回のコラムでは、相振り飛車での美濃囲いについてご紹介しました。
今回は「穴熊囲い」についてご紹介していきます。では、美濃囲いのように、振り飛車対居飛車のときの穴熊と、相振り飛車での穴熊には違いがあるのか? そちらを見ていきましょう。
囲いの特徴
第1図をご覧ください。
【第1図は▲4八金左まで】
相振り飛車で、先手向かい飛車+穴熊、後手三間飛車+美濃の序盤です。先手陣の穴熊は、振り飛車対居飛車でのときの穴熊と違いはわかりますか? それでは、わかりやすいように、振り飛車対居飛車での穴熊の図も見てみましょう。第2図です。
【第2図は△3二金右まで】
三間飛車対居飛車の相穴熊戦の序盤です。第2図では、金が3筋に並んでいる正方形の穴熊ですね。では第1図はどうでしょう? 金が4八と3八に横に並んでいる穴熊になっています。これが相振り飛車で穴熊に囲ったときの大きな特徴です。第2図では、どちらの穴熊も相手の飛車が利いていませんよね。よって、上部から攻められることがないので、どちらも3筋に金が二枚並んだ形で囲っています。
第1図では、3筋の飛車が穴熊を直接狙っていますよね。そこで、正方形のガチガチの穴熊よりも、4八、3八と金を横並びにして上部に強い形に組んでいます。第1図でもし4八の金が3九なら? 1三の角を△5七角成と成り込まれてしまいますね。そちらの守りにもなっています。
また、△2五桂~△1六歩▲同歩△1七歩のように、端からガンガン攻められることも多々あります。そのときに金が3筋に二枚並んでいると逃げ道を塞いでいるともいえます。4八、3八の形なら2九(2八)~3九と、玉の脱出路がありますよね。
ただし、3九のときは2八の銀が1七などにいった後に、▲2八金上と端を補強できますが、4八では補強できないので、場合によっては4八よりも3九のほうがよい場合もあります。ですが、4~5筋が薄くなるので、やはり最初のうちは4八金型のほうをオススメします。それでは、先手側のみ駒を配置して、組み方を見ていきましょう。
囲いを組むまでの手順
初手から▲7六歩、▲6六歩、▲6八銀、▲6七銀、▲7七角、▲8八飛(第3図)。
【第3図は▲8八飛まで】
今回も、向かい飛車に振った場合で解説していきます。それでは続いて見ていきましょう。第3図から、▲4八玉、▲3八玉、▲5八金左、▲2八玉、▲3八金(第4図)。
【第4図は▲3八金まで】
前回までの美濃囲いとは違い、玉は4八~3八~2八とどんどん横移動させていきます。そして、まずは▲3八金と上がるところがポイントです。すぐに▲1八香と上がって穴熊に組んでいくよりも、離れ駒がなく、場合によってはこのままの形でも強く戦っていくことができます。第4図から、▲1八香、▲1九玉、▲2八銀、▲4八金左(第5図)。
【第5図は▲4八金左まで】
これで、相振り飛車での穴熊が完成しました。次回は、組む際の注意点などについて解説していきます。
玉の囲い方
監修杉本和陽四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。