ライター一瀬浩司
△2五歩はどの駒で取るべき?【矢倉の崩し方を覚えよう】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年02月01日
今回のコラムも、飛車角銀桂を理想的に配置した形から、矢倉を攻めていく指し方を見ていきましょう。それでは第1図です。
【第1図は△2五同歩まで】
前回のコラムの続きですが、▲2四歩△同歩▲2五歩△同歩と継ぎ歩をして攻めているところです。2五の歩は飛車、銀、桂の三つの駒で取り返していけますが、さて、どの駒で取るのが正解なのでしょうか?それでは進めていきましょう。
まずは▲2五同飛ですが、これは△2三歩と打たれてなにも戦果は上がりません。7五に後手の角がいたりすれば、十字飛車が決まったりする場合もごくまれにはありますが、ほとんどの場合では、飛車で取る手はうまくいきません。
残るは銀と桂ですね。それでは、第1図から▲2五同銀と取ってみましょう。次に▲2四歩と押さえる手も大きいですし、▲3四銀と王手で銀を進出する手もあるので、△2三歩と守ってきます。そこで、▲2四歩と合わせて△同歩▲同銀△同銀▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛(第2図)と進みます。
【第2図は▲2八飛まで】
第2図からは、▲6一角~▲4一銀と攻める手などがあって、先手成功の形といえます。では、銀で取る手が正解でしょうか? 残る桂で取る手も見ていきましょう。
第1図から▲2五同桂と取れば、次に▲3三桂成と銀を取れば2八の飛車と3三の成桂で「両王手」の形となって一気に決まりますよね。よって、後手はなにか受けなくてはなりません。△2三歩と受ける手には▲1三桂成△同香▲1四歩と攻めていく手もありますが、▲3三桂成と銀桂交換の駒得をしておいて、先手十分です。
一例として、△3三同桂に▲5二銀と打つなどして、快調に攻めていけます。それでは銀を取られないようにと、▲2五同桂に対して△2四銀と逃げてみましょう。まず、ぱっと見える手は▲1三桂成ですね。△1三同香(△同桂も)▲2四角△同角▲同飛として銀桂交換で先手十分です。よって、△1三同玉と取ってきますが、ここでいろいろな攻め方があります。▲1四歩△2三玉▲2五銀△同銀▲2四歩(第3図)も厳しい攻めです。
【第3図は▲2四歩まで】
△2二玉には▲2五飛で▲2三銀の打ち込みが厳しく残ります。また、第3図で△2四同角としても、▲2五飛と銀を取り返せば、△3三金寄に▲1五銀として、これも厳しい攻めが続いていきますね。
また、△1三同玉のときにより厳しく攻めていくのなら、▲2四角△同角▲1四銀(▲1四歩として、△2二玉には▲2四飛、△2三玉には▲1五銀と攻めても先手十分)と攻めていく順もあります。以下、△2二玉▲2四飛△2三歩▲同銀成(▲2九飛△1四香▲同歩でも先手十分)△同金▲同飛成△同玉に▲4一角(第4図)が厳しい王手になります。
【第4図は▲4一角まで】
第4図から△3二銀には▲2四歩△3三玉▲2三金と攻めていけますし、△3三玉には▲3二金△2四玉(△2三玉は▲4二金)▲2五歩△1三玉▲1四歩△1二玉▲1三歩成△同桂▲1四歩(第5図)で一気に後手玉を受けなしに追い込めます。
【第5図は▲1四歩まで】
ただし、もし後手に8二に飛車がいて6二の銀がいないなど、飛車の横利きが通っている形では、▲4一角のときに△3二銀▲2四歩△同玉とされ、▲3二角成に△同飛と取られてしまうので注意が必要な攻め方です。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。