ライター一瀬浩司
矢倉囲いの攻め方を覚えよう!▲4五銀と銀をぶつけた後の展開は?
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年01月18日
今回のコラムも矢倉の攻め方を見ていきましょう。それでは第1図です。
【第1図は△5三銀まで】
▲4五歩と突いた手に対し、△5三銀と上がったところです。前回のコラムでは、▲4四歩△同銀左▲4五桂と攻めていきました。これでも先手が十分でしたが、今回のコラムはそれ以外の攻め方も見ていきましょう。では、第1図から、▲4四歩△同銀左に▲4五銀(第2図)と銀をぶつけていってみましょう。
【第2図は▲4五銀まで】
第2図で、△4五同銀なら▲同桂△4四銀▲3三歩(第3図)で快調に攻めが続いていきます。
【第3図は▲3三歩まで】
第3図で△3三同桂なら、▲同桂成△同金直▲4五桂と調子よく攻められますし、第3図で△3一金と引くのも、今回は先手の持ち駒に銀がありますので、▲5三銀△同銀▲同桂成△同金▲同角成△同角▲4三飛成と攻め込んで先手良しです。
では、第2図でも先手良いのでしょうか? ほかの受け方を考えてみましょう。第2図でほうっておけば、▲4四銀△同銀▲同角△同金▲同飛で二枚換えになるため先手良しです。では、△3五歩と角筋を止めてみましょう。先手は▲4四銀と銀を取って攻め続けていきます。対して、△同銀なら▲4五歩△5三銀▲3五角(第4図)で、次の▲4四歩の突き出しが厳しく、先手良しです。
【第4図は▲3五角まで】
第4図で△3六歩が気になるところですが、▲4四歩と突き出して、△3四金は▲4三歩成△3五金▲3二と△同玉▲4三銀で寄りですし、△3七歩成も▲4三歩成△4八と▲3四銀でこれも寄り筋です。では、第2図から△3五歩も先手が良いのか?
実は▲4四銀のとき、銀の取り返し方に問題がありました。形は当然△4四同銀なのですが、△同金と取る手が好手になります。今度▲4五歩なら△3四金とかわせるのが銀で取ったときとの違いで、▲3五角と出ることができません。△4四同金に対し、▲4五銀は△同金▲同桂△4四銀(第5図)で、意外と攻めきるのは大変です。
【第5図は△4四銀まで】
次に△4七歩▲同飛△3六銀と桂を狙ってくる狙いがあります。第5図から▲3三歩と攻めても、△同桂▲同桂成△同金▲3四歩△同金▲4三金で決まりに見えますが、△4五歩▲4二金△同飛と辛抱されると、角銀交換の駒得にはなりますが、歩切れの先手は手を作るのが大変で、後手は持ち駒が豊富になって、先手成功とはいえません。第5図で▲3四金は△4三銀ですし、どうも攻めきるとなると大変です。
よって、第1図から▲4四歩△同銀左に▲4五銀は△3五歩で大変です。次回のコラムでは、また別の攻め方を見ていきましょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。