ライター一瀬浩司

7三から穴熊を攻略する方法。飛車の横利きを利用して香や桂で攻め込もう。【穴熊の崩し方 vol.7】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2017年04月07日
今回のコラムは、7三の地点へ駒を放り込んで穴熊を崩していく攻め方をご紹介いたします。まずは第1図をご覧ください。
【第1図】
前回までのコラムでご紹介したように、▲7一飛成△同銀▲6一金と攻めるのは、△8二銀と上がられると、▲7二銀と打っても△2二飛くらいで攻めが続きませんし、△8二玉と玉を上がられても7三からの脱出路があるため、とうてい寄せきることはできません。
▲6九香や▲6四香と打って、次に▲6一香成を狙う攻め方も確実で有力ですが、もっと早い攻めがあります。 ▲7三香(第2図)と放り込んでいきます。
【第2図は▲7三香まで】
一見ただのところに打ったように見えますが、非常に厳しい攻めになっております。それでは順を追って解説していきます。
第2図から、(1)△6二金とかわすのは、▲7一香成が次に▲8一成香までの詰めろとなります。詰めろを受けるには、△7一同銀しかありませんが、▲同飛成△8二香▲6二竜で、あっという間に金銀をはがすことができ、次に▲7二金と打てば必至が掛かります。 (2)△7三同銀は、銀の連係が外れたので▲7一飛成と金が取れます。
残るは(3)△7三同桂ですが、玉の脇があいたので、▲7二銀(第3図)と打つ手が厳しい一手になります。
【第3図は▲7二銀まで】
次は▲7一銀成と銀でいくのではなく、▲7一飛成△同銀▲8一金までの詰みを狙っています。以下△8一香なら、今度は▲7一銀成△同銀▲同竜ですし、△6一香と受けるのも、▲7一銀成△同銀▲6一飛成△8二銀打▲7二香で寄りです。
最後の▲7二香は、次に▲8一金△同玉▲7一香成△同銀▲7二銀△8二玉▲7一竜までの詰めろになっています。 続いては第4図です。
【第4図】
今度の持ち駒は、銀香から銀桂となっております。まずは▲6三桂と7一の金を狙ってみましょう。△6二金なら▲7一桂成ですが、△7二金▲6一飛成△7一香とされると決まりません。
ここでも、▲7三桂と桂を放り込む手が厳しい攻めとなります。後手がもし放置すれば、▲6一桂成とするのではなく、▲7二銀(第5図)が非常に厳しい一手となります。
【第5図は▲7二銀まで】
次は▲8一桂成△同金▲同飛成までの詰めろですし、△7二同金も▲8一飛成までの詰みです。△7三桂は▲7一飛成△同銀▲8一金とこれも詰みです。残るは△7三銀ですが、▲7一飛成と金を取れば、▲8一竜までの詰みを防ぐことができず、必至となります。 戻って、第4図からの▲7三桂に△7二香と受ける手には、▲6一桂成△同金▲同飛成と金をはがしていきます。
このように、一段目に飛車の横利きがあるときに、7三へ香や桂を放り込む手は非常に厳しい攻めになることが多いのです。次回のコラムも7三へ放り込む攻めをご紹介していきます。
穴熊の崩し方


監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。