豪快に穴熊を攻略する方法は?飛車と角を切ってでも、スピード重視で攻めこもう【穴熊の崩し方 vol.5】

豪快に穴熊を攻略する方法は?飛車と角を切ってでも、スピード重視で攻めこもう【穴熊の崩し方 vol.5】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年03月26日

今回のコラムからは、穴熊に対して豪快に攻めていく指し方をご紹介いたします。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

飛車角で7一の金をにらんでいますが、7一への駒の利きは2対2の状態で、さてどう攻めようかというところです。まずは▲6一金と打つ攻め方が浮かぶ方も多いかと思います。しかし、それでは△同金▲同飛成△7一金打で▲4一竜と逃げるようでは、4一の飛車が竜に変わっただけで、ほとんど成果が上げられていません。歩があれば▲5二歩と垂らして攻めていけますが、あいにく駒台には金しかありません。

そこで、▲4四角成と歩を補充し、次に▲5二歩と垂らしていくという攻め方も考えられます。確かに着実な攻めなのですが、穴熊に迫るのに▲4四角成~▲5二歩~▲5一歩成~▲6一とと、4手もかかってしまうので、終盤で寄せの速度争いをしている場面ですと、攻め合い負けをしてしまう可能性も高いです。

ほかにもう攻め方はないじゃないかと思われるかもしれませんが、第1図から▲7一角成!△同金▲同飛成!(第2図)が穴熊のお株を奪うような豪快な攻めです。

【第2図は▲7一同飛成まで】

△7一同銀で、攻めの中心だったはずの飛車角をどちらとも失ってしまい、これでもうだめじゃないか、と第2図を見た時点で思われた方はとても多いと思います。

△7一同銀の局面は、飛車角を切って得たのが金2枚と、通常では考えられないような損をしていますから。もちろん、ここから攻めがないのでは、だめなのですが、▲6一金(第3図)と打つのが狙いの攻めです。

【第3図は▲6一金まで】

ここで、後手に金や銀があれば、△7二金や△8二銀打で簡単に受けられるのですが、持っているのは飛車と角です。では銀の代わりにと、△8二角と受けるのは▲7一金△同角▲7二金(第4図)がとても厳しい攻めです。

【第4図は▲7二金まで】

第4図から△5三角と逃げるのは、▲8二銀までですし、△8二角としても、▲6二金打としがみつけば、これが次に▲8二金△同玉▲7一角以下の詰めろとなり、受けに窮することになります。△2一飛と受けるのも、▲6一金打や、▲6一銀と飛車の利きを止めれば、角取りの受け方にまた困ることとなります。攻めるのには、やはり射程距離が長い角のほうが銀よりすぐれていますが、動きが斜めだけで、前後左右には動けませんので、守備には適さない駒です。

では、今度は第3図で△2一飛と飛車で受けてみましょう。金に当てつつ、7一の銀取りも受ける好手に見えるところです。しかし、構わず▲7一金△同飛▲6二金(第5図)と攻めてみると、△2一飛と逃げるのは▲7二金打で受けに困りますし、△8二角も▲7一金△同角▲7二金で、第4図よりも先手の持ち駒に飛車があるぶん、より攻めが厳しくなっています。

【第5図は▲6二金まで】

△7二金が最強の頑張りですが、▲7一金△同金▲1一飛△7二金打▲6一銀や、▲5三銀としがみつき、次に▲7二金△同飛▲6二金△8二飛▲7二金打の狙う攻め方もあります。角で受けた場合に比べると、粘りが効いて一気には決まりませんが、やはり利きのない斜めの場所に金銀を打たれるので、受けには適さない駒ということも今回のコラムでわかっていただけたかと思います。

次回のコラムでも大駒を切っていく攻め方をご紹介していきます。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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