初心者がまず覚えるべき「美濃囲いの3つの崩し方」【美濃囲いの崩し方 vol.1】

初心者がまず覚えるべき「美濃囲いの3つの崩し方」【美濃囲いの崩し方 vol.1】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年01月23日

「美濃」、「穴熊」、「矢倉」。玉の囲いには、大きく分けてこの3つが代表的なものです。本コラムでは【囲いの崩し方】シリーズとして、いろいろな囲いの崩し方を紹介していきます。先ほど紹介した3つの囲いの中でも、美濃は駒組みが簡単なうえに非常に堅い囲いで、最初にこの「美濃囲い」を覚える方も多いのではないでしょうか。第1図を見ていただきましょう。

初形から最短で美濃に囲った図ですが、組み上がるまでの指し手を記しますと、▲6八飛▲4八玉▲3八玉▲2八玉▲3八銀▲5八金左と、たった6手で美濃囲いが完成します。まず最初に飛車を移動して、その飛車がいた位置に玉を持っていきます。そして、銀と金を1回ずつ上がるだけと、非常にシンプルで覚えやすい囲いですね。

【第1図は▲5八金左まで】

第1図のように、飛車を6八など左辺に移動させる指し方を「振り飛車」と言いますが、振り飛車対 居飛車(飛車を移動せずに戦う戦法)ではほとんど飛車のいる側のほうで戦いになります。

【第2図は▲7八金まで】

そこで、第2図のように金を7八に上がり、金銀2枚だけの美濃で戦うこともあります。これは「片美濃」と呼ばれる囲い方で、金銀2枚だけでも十分に堅いです。美濃囲いの種類には、ほかにも第1図から発展させた「高美濃」、「銀冠」や、第2図から発展させた「木村美濃」などの、さまざまな囲い方があります。

しかし、いきなり多くの種類の崩し方を覚えるのはとても大変ですので、まずそれらは置いておき、基礎知識として、まずは第1図の「美濃囲い」と、第2図の「片美濃」における、基本的な崩し方をご紹介していきます。

美濃囲いの崩し方(1) 7一を狙う攻め

すべての囲いに対して言えることですが、自分で使うと非常に堅いですが、相手に使われるとどこを狙って攻めていいのかわからないという方も多いことでしょう。やはり、しっかり守りが考えられた囲いなので、やみくもに攻めていってはなかなか崩していくことができません。

p style="text-align: center;">【第3図は▲7一銀まで】

第3図を見てください。美濃囲いの横から攻めるときは7一の地点を狙うことが急所になります。図から△7一同金は▲同角成△9二玉▲8二金までの詰みですし、△9二玉には▲6一竜!と竜を切ってしまうのが絶妙手で、△同銀に6一で入手した金を▲8二金と打って詰みとなります。7一に角や銀と、斜め後ろに利く駒を打てる形になれば、美濃囲いの玉を寄せることができます。

>美濃囲いの崩し方(2) コビン攻め

【第4図は▲7四桂まで】

次に第4図です。今度は角のラインを使った崩し方です。図から△7四同歩は▲8二角成と玉を取られてしまうので、この桂は取ることができません。△7一玉も、△9二玉も▲8二金と打って詰みとなります。このように玉の斜めのラインを攻めることを「コビン攻め」と言います。角や桂の威力が非常によくわかる攻め方ですね。

美濃囲いの崩し方(3) 端攻め

【第5図は▲9五歩まで】

最後に第5図です。今度はいままでの例と違って、すぐに後手玉が詰むわけではないのですが、△9五同歩に▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲8五桂と端を攻めていきます。端攻めは金銀の守りがないところを攻めるので、非常に効果的な場合が多いです。端は玉の脱出路になることも多々ありますが、守りが薄いので、美濃囲いにおける弱点の1つでもあります。

美濃囲いに対しては、「7一を狙う攻め」、「コビン攻め」、「端攻め」と、主にこの3つの攻め方が有効な崩し方となります。次回は第3図のような、【7一を攻める崩し方】からご紹介していきます。

美濃囲いの崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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