銀と歩を持ち駒にするメリットとは?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第91回 矢倉の崩し方】

銀と歩を持ち駒にするメリットとは?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第91回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年06月15日

矢倉の崩し方

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲6八角まで】

いま、▲3五銀△同銀▲同角と3五の地点で銀交換になったあと、△2四銀▲6八角と進んだ局面です。前回までのコラムは、ここで△6四角と香取りに角を出てくる手を見てきました。これに対しては、▲3三歩と打てば攻めがつながっていきましたね。今回は、第1図から△3四歩(第2図)と受ける順を見ていきます。

3筋の飛車の利きを止められても有効な二つの手

【第2図は△3四歩まで】

3筋の飛車の利きを止め、手堅い受けですね。やはり飛車に利きが直通していると、厳しい攻めが生じやすくなっていきます。

さて、冷静にこの局面を見てみましょう。先手は1筋を突き捨ててあるので一歩損をしていますが、駒台に銀を乗せることに成功しています。後手も歩はありますが、銀を守りに投入していますね。先手だけ銀を手持ちにしているのは、大きなポイントです。例えば、第2図はわかりやすいように駒を部分的に配置しておりますが、すべての駒を配置してわかりやすい局面を作ってみましょう。第3図が一例です。

【第3図は△3四歩まで】

飛車の利きがあるので、▲5二銀など、直接後手陣を攻めるのには使えませんが、銀と歩が持ち駒にあることによって、有効な手が二つ生じています。まずひとつは▲8三銀(第4図)です。

敵の攻撃陣を攻めて戦力を削ごう!

【第4図は▲8三銀まで】

飛車取りなので△7一飛と逃げますが、▲7四銀成として敵の攻撃陣を逆に攻めて戦力を削ぐ手があります。以下、△8五桂には▲8四成銀がありますし、このままでも▲8四成銀や▲6三成銀と歩を入手していく手があります。

持ち駒の銀は、相手の囲いを崩すのに使いたいところではありますが、このように敵の攻撃陣を逆に攻めて、自分の囲い周辺を手厚くしていく指し方も有力です。また、歩を多く入手すれば、▲3三歩や▲1二歩などがより効果的な攻めになっていきますね。

もうひとつの有力手は、▲6五歩(第5図)です。

先手の駒得を確実にする歩

【第5図は▲6五歩まで】

これは、歩を持っているから成立する手になります。後手からは銀と桂、どちらの駒でも取ることができ、相手の攻めのお手伝いにも見えますね。しかし、△6五同銀、△同桂ともに▲6六歩と打てばどうでしょうか? どちらの進行でも、銀と桂の行き場がなく、先手の駒得が確実になります。かといって、△5三銀と引くのでは、▲8三銀~▲7四銀成で、相手の攻めの銀を引かせているぶん先手が得をしていますね。

ただし、この指し方は相手の攻め駒を呼び込みますので、形によっては△6五同桂▲6六歩△7五歩など、逆に勢いを与えてしまうこともありますので、注意が必要です。▲8三銀と打つほうが、リスクは少ないでしょう。

少し話が脱線してしまいましたが、銀と歩を持ち駒にするメリットの一例を、今回のコラムでは書きました。次回からは、第2図での攻め方を見ていきます。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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