風車の組み方(1)【玉の囲い方 第67回】

風車の組み方(1)【玉の囲い方 第67回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年05月16日

玉の囲い方

今回のコラムでは「風車(かざぐるま)」をご紹介します。風車? あのクルクル回る風車? どんな戦法だろう? と思われる方もいるでしょう。では、プロの実戦も交えて見ていくことにしましょう。

囲いの特徴:第1図をご覧ください。

【第1図は▲3七桂まで】

昭和57年9月28日、第41期昇降級リーグ3組、▲伊藤果五段ー△佐瀬勇次八段戦(肩書は当時)です。あれ? これ右玉じゃん? と思われそうですが、先手の飛車の位置をよく見てください。右玉は2筋にいましたが、風車は5筋に飛車がいますね。右玉は飛車を動かさずに組みますが、風車はまず中飛車に振ってから玉を3八に移動させて組んでいきます。実戦はここから△4四銀▲2九飛△3三銀引▲6八角△3一角▲7七桂△4二角▲5七角△2二玉▲4五歩△2三銀▲4九玉△3二金▲5八玉(第2図)と進行しました。

【第2図は▲5八玉まで】

飛車を2筋に戻し、玉は5八に引っ越ししましたね。まるで、飛車や玉が風車のようにクルクルと動いているように見えませんか? 第1図から伊藤八段は、左美濃の玉頭に飛車を転回し、2筋が争点になりそうなので、玉を戦場より遠くなるように5筋に移動させました。

先手の伊藤八段が得意としていた戦法で、自分からはあまり動きません。千日手辞さずの戦法で、先手番ながら本格的な戦いに入る前に千日手になった、という公式戦の対局もいくつかあります。指しこなすのが難しく、プロでも伊藤八段くらいしか使っておりませんでした。自分から動くよりは、相手が攻めてきたところにカウンターを打ち込んでいくほうが好き、という方には向いている戦法でしょう。それでは、先手側の駒だけを配置して、どのように組んでいくのかを見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順:初手から▲7六歩、▲6六歩、▲6八銀、▲6七銀、▲5六歩、▲5八飛、▲4八玉、▲3八玉、▲4八銀(第3図)。

【第3図は▲4八銀まで】

おや? どこかで見たような? そうです、前回までのコラムでご紹介した「三手囲い」ですね。ここから、陣形をどんどん発展させていきます。第3図から、▲1六歩、▲7七角、▲7八金、▲5九飛(第4図)。

【第4図は▲5九飛まで】

左辺はこのタイミングで動かさず、先に玉側を整備してももちろん構いません。相手が右銀を繰り出してきたり、△6四歩と突いて△6五歩の仕掛けを狙ってきたときに、▲7八金と上がり、金の力でがっちりと受け止めていく、という考え方でよいでしょう。第4図から、▲4六歩、▲4七銀、▲4八金、▲3六歩、▲3七桂、▲2六歩(第5図)。

【第5図は▲2六歩まで】

ここから、▲2九飛と飛車を移動させたりもしますが、ひとまずこれで完成形となります。次回のコラムは組む際の注意点と発展形を見ていきます。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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