最善手は桂馬のタダ捨て?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第77回 矢倉の崩し方】

最善手は桂馬のタダ捨て?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第77回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年03月23日

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△3六歩まで】

前回のコラムでは、ここから▲2五歩と突き、△3七歩成▲同飛△2五歩に▲1三歩成と攻め込めば、6八の角筋が間接的に1三まで利いていて快調に攻めていけました。

では、もうひとつの攻め筋も見ていきましょう。2五に駒を動かすのは同じなのですが、▲2五桂(第2図)と歩の頭に跳ねていきます。

【第2図は▲2五桂まで】

△2五同歩でタダじゃん。って思われるでしょうが、そこでじっと▲2五同歩と取っておく手もありますが、▲3六飛(第3図)と歩を払います。

【第3図は▲3六飛まで】

第3図で△1二歩なら、▲3五銀と出ておけば▲3四歩が受けにくいですね。△2三金と利きを足してくる手には、▲2五歩がピッタリです。△2三金で△3四桂と、「敵の打ちたいところへ打て」の格言を実行してきても、やはり▲2五歩と取れば次に▲2四歩と伸ばしておく手が大きく、先手よしです。3四に打った桂も、▲2六飛と寄る手は防いでいるものの、活用が見込めなさそうですね。

また、第3図で△3四歩には、じっと▲2五歩と取っておけば、1二に打つ歩のない後手は端を補強することができません。先手は次に、▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩に▲2四銀と進軍していく要領です。こうなると、端の取り込みが大きく、攻めの迫力が増しますね。よって、第3図では後手は△2六歩と取り込むくらいでしょう。△2七歩成までいけば、上部脱出に心強い守り駒にもなりそうです。▲2六同飛と、すぐに取れますが、それは△2三歩と受けられて▲1三歩成としても△同香▲同香成△同玉で、▲3五銀に△2二玉(第4図)と引かれておいてイマイチです。

【第4図は△2二玉まで】

第4図からは、▲3四歩に△2四銀(△3四同銀は▲同銀△同金▲3九香)とされ、▲同銀△同歩で3四の拠点があるものの、攻めきることは難しいですね。

よって、第3図から△2六歩には、やはり▲1三歩成と攻め込んでいきます。△1三同桂は、前回のコラムでも出てきましたが、▲1二歩と打ち捨て、△同香に▲1四歩と打てば先手よしです。△1三同香▲同香成△同玉となりますが、やはり▲3五銀(第5図)が厳しい進軍となります。

【第5図は▲3五銀まで】

第5図から△3四歩は▲同銀ですし、△2七歩成は▲3四歩と打ち、△2二銀は▲3三香で△同桂は▲2四銀、△2三金は▲2四歩△1四金▲3二香成で後手収拾がつきません。△2七歩成▲3四歩に、強く△2四銀も、▲3三香が強烈で、△同桂は▲2四銀、△3五銀は▲同角が王手になります。第5図で角筋を避ける△2二玉は、▲3四歩があり、後手にうまく受けるすべはありません。

よって、第1図から前回の▲2五歩、今回の▲2五桂のどちらでも、先手がよくなることがわかりました。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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