ライター一瀬浩司
角筋を止められたらどう攻めを繋げればいいの?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第71回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年12月05日
今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲6八角まで】
先手が銀交換をして▲6八角と引いたところですが、これまでのコラムでは△2四歩と△6四角を見ていきました。今回は角筋を止める△3五銀(第2図)を見ていきましょう。
【第2図は△3五銀まで】
△6四角と出てくる手に比べてみると、香取りなどにはなっていないので、余裕があるように見えます。ですが、次に△2四歩と桂取りに突かれる手があるので、忙しい局面とも言えます。△2四歩に▲3三歩と打っても、△同桂▲同桂成△同金寄で2五に桂も打てないので攻める手がほとんどなくなってしまいます。
よって、△2四歩が来る前に攻めて行かなくてはなりません。まず目につく手は▲3三歩でしょう。金や角で取る手は駒得の先手が満足になります。△3一金には、壁になったので▲1三桂成から端を攻めてもよいですが、▲3五角と切ってしまうのがよいでしょう。△同歩▲同飛(第3図)と進めれば次に▲3二銀の打ち込みが強烈ですし、△3三桂と歩を払ってきても▲同桂成△同角▲3四歩△2四角▲3三銀と一気に攻め込んでいけます。
【第3図は▲3五同飛まで】
ただし、後手に歩がある場合は▲3五同飛に△3四歩で簡単に受かってしまうので、そのときは▲1三桂成△同香▲1四歩と端から攻めていきましょう。
最後に、▲3三歩に対して△同桂と取る手です。端が薄くなったので、▲1四歩と突く手がありそうですが、△同歩▲同香△同香▲1三銀△3一玉(第4図)となると、▲3三桂成△同角▲2五桂と攻めは続くものの、やや重い攻めで先手不満です。
【第4図は△3一玉まで】
以下△5一角▲3三歩△4二金寄と辛抱されても▲1二銀不成には△3三金寄▲同桂成△同金とされて1二の銀の活用が難しく、攻めきるのは大変そうです。もう一歩あれば、▲3五角△同歩▲3四歩と攻めていけるのですが。なお、第4図の△3一玉では△2一玉のほうが△1二歩を見せてよさそうですが、逆に先手から▲1二歩と垂らされると、次に▲1一歩成△同玉▲3五角(△同歩は▲1二銀打まで)の攻めが残り、攻めが繋がっていきます。
では、△3三同桂のとき、▲1四歩に代えて▲1三桂成はどうでしょうか? △同香▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲同香成△同玉(第5図)と進みます。
【第5図は△1三同玉まで】
ここで、▲3六歩は△2四銀と引かれて▲2五歩には△同桂があり、▲3三歩が逆効果になってしまいます。▲1四歩は強く△同玉と取られて▲1五歩は△1三玉、▲1八飛は△1六歩でどうも決めきれません。第5図で▲1八飛は△1五歩の中合いが好手で、▲同飛は△1四香ですし、▲1九香や▲1七香も△1四香と埋められて攻めきれません。どこかで△4五桂と跳ねる手が4二の角筋を通して味のよい手になりそうです。
よって、第2図から▲3三歩はどうもうまくいかなそうです。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。