ライター一瀬浩司
香の入手が攻めをつなぐ!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第56回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年09月19日
今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲3三歩まで】
いま、先手が▲3三歩と金取りに歩を打ち込んだ局面です。前回のコラムでは、△4三金とかわしたときの対応を見ていきました。これには▲3五銀! が強烈な一撃で、△3五同銀は▲1三桂成、△3五同金も▲同角△同金に▲1三桂成が決まっていずれもきれいに攻めきれました。
今回は、第1図から△2三金とかわす手を考えていきます。なお、第1図から△3一金も▲3五銀がさく裂します。△3五同銀は▲1三桂成、△3五同金も▲同角でほぼ同様に決まりますので確認してみてください。
さて、△2三金に対して、前回同様に▲3五銀はどうでしょうか? △3五同銀▲同角△同金(第2図)まで進んでみますと、2三の金が後手玉をしっかり守っていますね。
【第2図は△3五同金まで】
第2図から▲1三桂成は△同香▲2四歩△3三金で攻めきれませんし、▲4三銀も△6四角▲3二歩成△1二玉となり、後手が受けきるのは大変ですが、やや攻めが細いです。
よって、別の攻めを考えてみましょう。金駒があれば、4三や3二に打ち込んで攻めていけますが、あいにく現状では持ち駒に歩しかありません。では、もし香があれば? ▲3九香が痛打になりますね。香の入手も狙に含んで、▲1三桂成(第3図)と端に突っ込んでいきます。
【第3図は▲1三桂成まで】
第3図で△1三同玉は、▲3二歩成があるので論外ですね。△1三同銀は、▲1四歩△2四銀▲1三歩成で、△同香は▲同香成△同桂▲3九香(第4図)、△同桂は▲1四歩△2五桂▲2六歩で、いずれも十分です。
【第4図は▲3九香まで】
第3図から△1三同桂は▲1四歩△2五桂▲2六歩で、△1三同銀▲1四歩△2四銀▲1三歩成△同桂▲1四歩△2五桂▲2六歩と進んだ順と比べてみますと先手の駒台に歩が乗っており、より先手の条件がよくなっております。
残るは第3図から、△1三同香ですが、▲1四歩△同香▲同香で、やはり次に▲3九香の厳しい狙いが残っています。△3三金引としても、▲2五歩△1五銀▲2四香(第5図)くらいで攻めが続いていきます。
【第5図は▲2四香まで】
よって、第1図から△2三金とかわす手にはいきなり▲3五銀ですと△同銀▲同角△同金でやや攻めが細くなってしまいますが、▲1三桂成として香を入手しての▲3九香を狙いに攻めていけば先手がよくなります。
次回のコラムでは、第1図から△3三同桂と取る手を見ていきましょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。