平凡な一手が攻めをつなげる好手?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第57回 矢倉の崩し方】
ライター: 更新: 2018年09月26日
今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲3三歩まで】
いま、先手が▲3三歩と金取りに歩を打ち込んだ局面です。前々回のコラムでは、△4三金とかわした手に対し▲3五銀! が強烈な一撃できれいに攻めきれました。△3一金も▲3五銀で決まります。前回のコラムでは、△2三金と玉頭にかわし、これには▲1三桂成から1筋を攻め、▲3九香の実現を狙って攻めていけばよいということでした。
今回は残る応手、△3三同桂はどうなるのかを見ていきます。これには、平凡に▲3三同桂成と取っていきます。これもいろいろな取り方がありますが、順に見ていきましょう。
まず、△3三同金引は▲2五歩で銀の行き場がありませんね。△3三同金上は▲3五歩△2五金に▲3四桂(第2図)があります。
【第2図は▲3四桂まで】
△3三同角には▲2六桂△2五金▲3四桂△2三玉▲2六歩とすれば、△3六金には▲2五歩で銀の行き場がないためこれも先手よしです。また、△3三同角には▲3五歩△2五金▲3四歩△4二角と攻める手もあります。一見、ここで次の攻めが難しそうに見えるところですが、▲1六桂(第3図)が好手です。
【第3図は▲1六桂まで】
第3図から△1五銀は▲2五飛と金が取られてしまうので、後手は2四の銀を逃げることができません。△1六同金は▲同香でよいですし、△2三歩は▲2四桂△同歩に▲3五銀と進軍させて3四の拠点が大きいですね。第3図から、△2七歩▲同飛△2六歩が気になるところですが、構わず▲2四桂△2七歩成▲3二桂成△同玉に▲3三銀(いったん▲3五銀と力を溜める手も有力)とガンガン攻め込んでいけます。また、第3図から△2七歩▲同飛△2六歩にじっと▲2九飛と引き、△1五銀に▲3五銀としておく順も有力です。
残るは▲3三同桂成に対して△同玉です。過激に▲3五銀も考えられそうですが、△同金▲同角△同銀▲2一飛成と飛車を成り込めはしますが、△2三銀(第4図)と受けられておくくらいで、さすがに角損は大きくこれは先手が自信ありません。
【第4図は△2三銀まで】
やはりここでも、▲3五歩△2五金▲1六桂が有効な攻め方です。やはり2四の銀が逃げると2五の金が取られてしまうので、△2七歩▲同飛△2六歩と連打してきますが、そこで▲3四歩(第5図)がいいタイミングでの突き出しになります。
【第5図は▲3四歩まで】
第5図から△3四同玉は▲2四桂で△同金は▲2六飛、△同角は▲3五歩がありますし、△2七歩成は▲3二桂成で▲3四歩と突き出した効果で金をボロっと取ることができます。第5図から△4三玉には▲2四桂△2七歩成▲3二桂成△同玉▲3三銀と先ほどの変化に合流し、これも先手がガンガン攻めていけますね。よって、第1図から△3三同桂と取る手も平凡に▲同桂成として先手がよくなることがわかりました。