ライター一瀬浩司
歩でも銀でも攻め切れない。そんな時は桂馬を活用して攻めよう!【第41回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年06月29日
今回のコラムも、矢倉に対して4七銀、3七桂型から攻めていく指し方を見ていきます。それでは第1図です。
【第1図は△3三金寄まで】
いま▲4四歩△3三金寄と、大きな拠点ができたところです。前回のコラムでは、ここから▲2四歩と攻め続けてみました。しかし、△3五歩▲2三歩成△同金上と応じられるとどうもうまくいきませんでした。今回は、▲2四歩以外の攻めはなにかないのかを見ていきましょう。
まずは▲3四銀と突進する手はどうでしょう? △3四同金に▲4三銀と打ち込む狙いです。しかし、△4四金と根元の歩を払われ、▲4二銀成△同金とさっぱり進められるとどうでしょうか? ▲2四歩と突いて△同歩▲同飛の十字飛車で決まり。という読み筋は独善というものです。▲2四歩のときに△3二銀(第2図)と受けられると、▲2三歩成△同銀▲2四歩△3二銀と2筋に大きな拠点ができますが、もうひと押しがありません。
【第2図は△3二銀まで】
後手からは△2七歩▲同飛△3六銀など、飛車を目標に上部開拓を目指す順も残っており、これは失敗です。
▲2四歩もダメ、▲3四銀もダメ、▲2六銀は論外。第1図からすぐに▲4三銀と打ち込んでも、△3五歩▲3二銀成△同玉で金一枚ではこれも攻めが続きません。いよいよ手段に困ったかと思われるところですが、ここは銀から目を離してみましょう。攻め駒はほかにないですか? 3七に桂がいますね。では、その桂を▲4五桂と跳ねてみましょう。3三の金は逃げ場がないので、△3五歩▲3三桂成(第3図)までは必然です。
【第3図は▲3三桂成まで】
さて、第3図では後手は成桂を桂、金、角、玉の四つの駒で取ることができます。まずは△3三同桂と取ってみましょう。これには▲4三銀の打ち込みが厳しいです。▲3二銀成△同玉▲4三金とされてはひとたまりもないですので、後手は△3一桂と4三に数を足してきます。さらに先手も▲3四金(第4図)と足していくとどうでしょう。
【第4図は▲3四金まで】
相変わらず後手は△4三桂と取っても、▲同歩成で数が足りないので4三では清算できません。△6一角とさらに4三へ足しても、▲2四歩△同歩▲2三歩が厳しく後手は支えきれません。
第3図から△3三同金は、▲4三金が厳しい打ち込みとなります。
△3三同角には、▲3四金と打っておく手も有力ですが、▲4八飛(第5図)が見た目以上に厳しい飛車回りになります。
【第5図は▲4八飛まで】
△4二歩と受けるのは▲3四歩で角が死にますし、△3四銀は▲4三銀の打ち込みが厳しいです。△3一桂には▲3四金△4二歩に▲4一銀が厳しい攻めとなります。△2六角と打つ手も▲4九飛としておけば、△4八歩▲2九飛△3七角成に▲3四金が厳しい一手となります。
では、次回のコラムでは残りの応手、△3三同玉はどうなるのかを見ていきましょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。