ライター一瀬浩司
△3三銀には端からガンガン攻めていこう【矢倉囲いの崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年02月09日
今回のコラムも、飛車角銀桂を理想的に配置した形から、矢倉を攻めていく指し方を見ていきましょう。それでは第1図です。
【第1図は△2四同銀まで】
いま、▲2四歩の突き捨てに後手が△同銀と応じたところです。前回のコラムでは、ここから▲3五歩と打って攻めてみました。しかし、△同歩▲同銀△同銀▲同角に△3六歩と打たれると、銀交換には成功したものの、▲2五桂に△3七歩成と、と金を作られて先手不利となってしまいました。
今回のコラムでは、▲3五歩以外の攻め方を考えてみましょう。同じように銀交換を目指す、▲2五銀(第2図)はどうなるか見ていきましょう。
【第2図は▲2五銀まで】
考えられる後手の応手は△3三銀、△2五同銀、△3五銀の三つです。それでは順に見ていきましょう。
まず△3三銀はいかにも弱気な手で、すぐには具体的な手がわからなくても、これなら考えればよくなりそうと思えますよね。まずは平凡に、▲2四歩と合わせてみましょう。△同歩▲同銀△同銀▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛(第3図)。
【第3図は▲2八飛まで】
あれ? この図はどこかで見たようにも思えませんか? 三回前のコラムの第2図とまったく同じ形です。つまり、第1図の△2四同銀に代えて、△2四同歩と取り、▲2五歩△同歩▲同銀△2三歩▲2四歩△同歩▲同銀△同銀▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛と進んだ順と一緒ということになります。
▲6一角~▲4一銀などの攻めが残っており、先手十分という話でしたよね。▲3五歩と打った場合に比べ、3四に後手の歩がありますので、△3六歩と打たれる反撃がありません。
では、第3図までで先手よし、ということにして次に進みましょう。と、言いたいところですが、もう一つ先手には攻め方があります。△3三銀に▲1四歩(第4図)と端から攻める手も有力ですね。
【第4図は▲1四歩まで】
△1四同歩▲同銀と進み、このままですと▲1二歩△同香(△同玉は▲2三銀成の両王手で詰みです)▲1三歩と歩を連打され、△同香▲同銀成△同桂▲同角成で、後手は端から破られてしまいます。そこで△1四同香▲同香△1三歩としてきますが、▲同香成△同桂▲1四歩△1二歩▲1三歩成△同歩▲2五桂△2四銀▲3三歩(第5図)とガンガン攻めていけます。
【第5図は▲3三歩まで】
第5図で△3三同銀は▲1三角成がありますし、△3三同金寄は▲同桂成△同金に▲2六香と打つ手が厳しいです。△3一金と引く手は▲2四角△同歩▲2三歩△同玉▲1五桂△1四玉▲3二銀と厳しく攻めていって後手陣は崩壊します。
また、第5図から△3一金のときにじっと▲2七香と力を溜める手も有力です。次に▲1三桂成と成り込めば、△同銀は▲2三香成がありますし、△同玉も▲2四香で寄りとなります。
じっくり攻めたいという方は、△3三銀に▲2四歩から角銀総交換の順でもよいですが、▲1四歩と端からガンガンいったほうが気持ちよく攻めていけますので、こちらの攻め方をオススメします。次回のコラムでは、△3三銀ではなく、別の応手を見ていきます。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。