ライター一瀬浩司
▲2四歩から矢倉を攻める指し方を覚えよう【矢倉囲いの崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年02月07日
今回のコラムも、飛車角銀桂を理想的に配置した形から、矢倉を攻めていく指し方を見ていきましょう。それでは第1図です。
【第1図は▲2四歩まで】
いま先手が▲2四歩と突いた局面ですが、これまで三回のコラムでは、△同歩と取った場合を解説してきました。
これには▲2五歩と合わせて、△同歩に▲同銀△2三歩▲2四歩から角銀交換しておいても先手十分ですが、▲2五同桂と桂で取って△2四銀に▲1三桂成でも、以下△同香には▲2四角△同角▲同飛。△1三同玉には▲1四歩△2三玉▲2五銀△同銀▲2四歩や▲2四角△同角▲1四銀△2二玉▲2四飛。いずれも先手よし、が前々回のコラムでの話でした。
▲2五同桂△2四銀の局面で、▲3三歩(第2図)と打つ手が強烈で、こちらの攻め方がいちばんよい、というのが前回のコラムでの結論です。
【第2図は▲3三歩まで】
まとめますと、第1図から△2四同歩には、▲2五歩と合わせ、△同歩▲同桂△2四銀に▲3三歩で先手はっきりよし、ということになります。
それでは、第1図から今度は△2四同銀と取った場合の指し方も見ていきましょう。▲2四歩△同銀が入った形ですので、今度は▲3五歩△同歩▲同銀(第3図)のときに銀がぶつかりますね。
【第3図は▲3五同銀まで】
まずはその順はどうなるのでしょうか? もし、後手が弱気を出して△3三銀と引けば、▲2五桂と跳ね出して調子よく攻めていけます。よって、△3五同銀▲同角と銀交換になります。
第1図から、攻めの3六の銀と、守りの3三の銀の交換になりました。通常は、攻めの銀と守りの銀の交換になれば、相手陣が薄くなるので、成功となることが多いです。では、今回も成功なのでしょうか? 実は、この攻め方では後手からの反撃があって、先手失敗となってしまいます。では後手からどんな手段があるのか? そちらを考えてみましょう。
先手は、飛車も角も敵陣に直通し、3七にいる桂もすぐに▲2五桂と跳ね出せば活用できる形です。が、一つ重大な欠陥がありました。そうです、△3六歩(第4図)と桂取りに打つ手があります。
【第4図は△3六歩まで】
このまま桂を取られるわけにはいきませんので、▲2五桂と跳ね出しますが、△3七歩成(第5図)と、と金を飛車取りで手順に作られてしまい、これは失敗になります。
【第5図は△3七歩成まで】
第5図から▲2九飛と逃げても、△3六と▲6八角△3五歩とされるくらいでも、3六のと金が厚く、攻め続けていくことが困難になります。
かといって、第4図から桂取りを放置して▲2四歩としても、△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩と平凡に応じられ、先手はそこで飛車を逃げるしかなく、そこで△3七歩成と桂を取られて失敗となります。
よって、第1図から△2四同銀に▲3五歩と打つ手は△同歩▲同銀△同銀▲同角に△3六歩でうまくいかない、ということになります。
次回のコラムでは、別の攻め方を考えていきましょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。