ライター一瀬浩司
雀刺しで矢倉囲いを攻略!1筋に飛車、角、香の利きを集中させる
ライター: 一瀬浩司 更新: 2017年10月07日
今回のコラムも、矢倉に対する雀刺しでの攻め方の続きです。それでは第1図です。
【第1図】
先手が▲2五桂と跳ね、後手が3三の銀取りを放置したらどうなるか? の続きです。
前回のコラムでは、ありがたく▲3三桂成と銀を頂戴して先手が十分になりました。では、銀を取る以外にも攻めはあるのか?ということですが、先手のこの構えはどこを攻めようとしていましたか? 1筋に飛車、角、香の利きを集中させて、矢倉囲いの端を狙っていますね。と、いうことで、当初の狙い通り、端を攻めて行きましょう。
前々回のコラムを読まれた方は、第1図の2五の桂が3七にまだいる状態で、▲1三角成! と強攻した手を覚えていらっしゃることと思います。かなりインパクトは強い攻めでしたが、うまくはいきませんでした。では、もし捨て駒が違えばどうなるのか? ▲1三桂成(第2図)と成り込んでみましょう。
【第2図は▲1三桂成まで】
△1三同桂は▲1四歩で、△2一桂や△2四銀と受けても、▲1三歩成で後手の駒の利きが足りず、端が破れることを確認してください。第2図からは△1三同香に、▲1四歩△同香▲同香(第3図)となれば、△1三歩と打っても▲同香成△同桂▲同角成で破れます。
【第3図は▲1四同香まで】
前々回で▲1三角成と突っ込む攻めに比べ、大きな違いは7九の角がいることです。今回の攻めでは、角を捨てていないので、1枚多く端に利いていることがとても大きいことがよくわかっていただけると思います。では、第3図から後手がなにも受けなければさらにどう進むかも見ていきましょう。▲1二香成△3一玉に▲1九香(第4図)が好手です。
【第4図は▲1九香まで】
第4図から、次に▲2一成香と取れば、△同玉には▲1一飛成までの詰みですし、△4一玉にも、▲1一飛成として、次の▲2二成香の開き王手が強烈に厳しい狙いとして残ります。
また、第4図の▲1九香に代えて、▲2一成香と先に桂を取る手も考えられます。△2一同玉▲1九香とすれば、次に▲1一飛成までの詰めろです。以下、△3一玉には▲1一飛成△2一香▲1二香成ですし、△2二銀と受けても、▲1二飛成△3一玉▲1三香成と攻めてこれも十分です。ただ、第4図の▲1九香とじっと打って力を溜めてから攻めるほうがわかりやすいでしょう。
さて、第2図に戻りまして、△1三同桂と△同香は調子よく攻めきれることがわかりました。後手の応手はこの2つだけですか? まだ△3一玉(第5図)と逃げる手が残っていますよね。
【第5図は△3一玉まで】
それでは、次回のコラムでは△3一玉と逃げられた場合について見ていきましょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。