急戦矢倉で攻める方法。▲5五歩から仕掛けていこう!

急戦矢倉で攻める方法。▲5五歩から仕掛けていこう!

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年08月22日

前回のコラムまでは、第1図から、▲4五歩△同歩▲同桂と仕掛けていく順について解説いたしました。

【第1図】

△4四銀なら▲4六銀や▲2四歩として攻めの態勢を作れますが、△2二銀と引かれるといまひとつでしたね。それでは、第1図からの正しい攻め方をご紹介していきましょう。

まずは▲5五歩(第2図)と5筋から戦端を開きます。

【第2図は▲5五歩まで】

4筋ではなく、こちらから突いていく手が正解です。△5五同歩に、▲同銀△5四歩▲6六銀と一歩交換だけしておいて、▲5六銀とさらに4七の銀を繰り出して攻めに厚みを加えたり、▲5七銀として角筋を通して銀を立て直してから▲4五歩や、▲5六銀直~▲4五歩と仕掛けていく指し方も有力です。

ですが、やはり一気に攻めていきたい、という方も多いはずです。△5五同歩のときに一気に攻め込む順はないかを考えてみましょう。

まずは▲4五歩と突きます。△同歩に▲2四歩△同歩と、「開戦は歩の突き捨てから」の格言通り、2筋の突き捨ても入れてから、▲5五銀(第3図)と出ていきます。

【第3図は▲5五銀まで】

途中の▲2四歩に対して△同銀は、▲5五銀と出られたとき4四の利きが足りなくなって早くも先手よしとなります。

第3図では、▲4四歩や▲4五桂とされてしまうと、後手はとても支えきることはできなくなります。そこで、△5四歩と銀取りに打ってきますが、ここで▲6六銀と相手の言いなりになって逃げるようでは、4筋と2筋を突き捨てた意味がまったくないどころか、△6四角が桂取りになりつつ玉の道を開く、幸便な一手になってきます。

では、△5四歩にはどうすればよいのでしょう? ▲4四歩が、攻めをつなげていく一手になります。△4二金引なら▲5四銀と出られますし、△5五歩▲4三歩成△同金の取り合いも、▲4五桂と跳ねて△4四銀には▲2四飛△2二歩▲2三歩、△2二銀には▲4六銀△4四歩▲5五銀△4五歩▲4四歩と調子よく攻めていくことができます。問題は、△5四歩▲4四歩に△5三金(第4図)とかわされたときです。

【第4図は△5三金まで】

▲6六銀と引くのでは、△4四金とせっかく打ち込んだ大きな拠点を取り払われてしまいます。以下▲5六銀と出て、なおも▲4五銀や▲4五桂の攻めを狙うのも、△6四角(第5図)が絶好の反撃となって、▲4五桂は△2八角成と飛車を取られてしまいますし、▲4七金としても△4六歩と突き出されてしまいます。

【第5図は△6四角まで】

持ち駒に歩が一枚でもあれば、▲5五歩と打っていくことができますが、あいにく▲4四歩と打った手で使ってしまいましたので、駒台には一枚もありません。

それでは、第1図から▲5五歩から仕掛けていくのもダメじゃないか!と思われるでしょうが、第4図からの攻め方を次回のコラムでご紹介していきます。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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