将棋コラム

攻め筋が多く、迫力満点の「向かい飛車」。急がずじっくり攻めるのがポイント

攻め筋が多く、迫力満点の「向かい飛車」。急がずじっくり攻めるのがポイント

更新: 2017年08月20日

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はじめての戦法入門

皆さん、こんにちは。高野秀行です。
前回から「向かい飛車」編となりました。まずは前回の第2図をご覧ください。ここで▲9七桂と跳ねて△7三桂▲7五歩△8四飛▲9五角で優勢となりました。

【前回第2図は△2二玉まで】

▲9七桂が妙手。以下△7三桂▲7五歩△8四飛▲9五角で優勢に。

しかし、ちょっと出来過ぎの手順でもあります。第2図の最終手△2二玉で△9四歩が居飛車の最善手。今回はこの局面を第1図として、スタートしたいと思います。

【第1図は△9四歩まで】

△2二玉で△9四歩。▲9七桂は△7三桂▲7五歩△8四飛で受かってしまいます。

第1図からの指し手
▲5六歩△2二玉▲6五歩△4四歩
▲6六角(第2図)

【第2図は▲6六角まで】

▲6六角と一つ出ます。▲8四歩~▲8五飛が狙い筋です。

△9四歩が最善手。もし前回同様▲9七桂と跳ねてきたら、△7三桂▲7五歩△8四飛(で▲9五角がないため、ピッタリ受かります。▲9七桂は「向かい飛車」の狙い筋で妙手なのですが、ここまで備えられると無理筋となります。新たな組み立てが必要です。

まず▲5六歩と突き、△2二玉に▲6五歩と角交換を挑みます。△7七角成▲同桂△8六歩なら▲8四歩(参考1図)が好手。△同飛は▲6六角の王手飛車取り。また次に▲8六飛があり、早くも「向かい飛車」優勢となります。居飛車は角交換をせずに△4四歩と角道を止めるのが、無難な指し方です。

【参考1図は▲8四歩まで】

まさにピッタリの▲8四歩。角交換となれば、大歓迎です。

その手に対して▲6六角と一つ出るのが、新たな組み立ての第一歩。さてどんな狙いがあるのでしょうか?

第2図からの指し手
△6四歩▲同歩△同銀▲7七桂
△6五歩▲5七角△7三桂(第3図)

【第3図は△7三桂まで】

6筋の位は取られましたが、予定の手順。第3図から狙いの攻め筋があります。

▲6六角の狙いは▲8四歩~▲8五飛。しかし、当然とはいえ△6四歩と弱い角の頭を目標に駒を進めてきます。

ここで大切なことがあります。
それは決して、急がないこと。

▲6四同歩△同銀に▲8三歩△同飛▲8四歩は△6三飛▲8五飛△6五銀(参考2図)で失敗。そこで▲7七桂と力をためます。△6五歩と位を取られるのは悔しいですが、▲5七角で▲8四歩、または▲8五飛のさばきが残っています。角を転換したと考えましょう。第1図で▲5六歩と突いたのも、大切な一手だと分かりますね。

【参考2図は△6五銀まで】

8筋突破を急ぐと、6筋を逆襲されてしまいます。これは失敗です。

▲8五飛とぶつけられるのを警戒し、△7三桂と跳ねてきた第3図。▲8四歩もあるのですが、もっと良い手が盤面に生じています。

第3図からの指し手
▲9五歩△同歩▲9四歩△7五歩
▲9三歩成△同香▲7五歩△8四飛
▲7四歩△同飛▲8五桂△同桂
▲同飛(第4図)

【第4図は▲8五同飛まで】

▲9五歩の端攻めから、細かな手順をつないで、飛車のさばきに成功!

▲6六角と出た時からの狙いである▲8四歩も有力な一手。しかし、△4五歩と突かれるとすぐの▲8五桂は△8八角成(参考3図)と飛車を取られてしまいます。また△4五歩は将来大きな位となりそうで、ここでは次善手といったところ。▲9五歩と端を突くのが、好手です。

【参考3図は△8八角成まで】

▲8四歩と垂らすのは△4五歩で飛車が角のラインに。4五も大きな位で、避けたい変化です。

△9五同歩に▲9四歩と垂らします。△同香は▲9三角成。7三桂と跳ねた形の裏をかいた格好です。△7五歩と角道を止めますが、▲9三歩成~▲7五歩で次に▲7四歩が残ります。△8四飛と浮いてきますが、構わず▲7四歩と突き、△同飛に▲8五桂~▲同飛と振り飛車らしく一気に駒がさばけ、「向かい飛車」優勢となりました。

第4図以下△8四歩としても▲同角△7三桂▲7五歩△8五桂▲7四歩で、次に▲6一飛の金銀両取り、または▲7三歩成と着実に攻めて良いでしょう。

では今回のポイントです。

  1. 1 △9四歩と備えた第1図では、▲9七桂は無理筋。

  2. 2 なので、▲5六歩~▲6五歩と角交換を挑む。△4四歩と角道を止めたところで▲6六角から新たな組み立てを目指します。

  3. 3 △6四歩からの反発に急がず、▲7七桂~▲5七角と駒組みを進める。△6五歩と位を取られるが、角を転換したと考えましょう。

  4. 4 ▲8四歩ではなく、▲9五歩が好手。7三桂の裏をかき、一気にさばいて優勢に。

    1. ▲9五歩からの攻め筋は、「向かい飛車」ならずとも、端攻めの必修科目ともいえる手筋の攻め。▲6六角~▲5七角と角を転換したことで、この攻め筋が生じたことを確認してください。

      次回は「向かい飛車」編の最終回
      攻め筋が多く、迫力満点の「向かい飛車」ですが、さらにパワーアップした作戦をご紹介したいと思います。

      はじめての戦法入門

      高野秀行六段

      ライター高野秀行六段

      1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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