ライター一瀬浩司

右四間飛車戦法で矢倉を攻略!角筋を連動させた攻めは破壊力抜群【矢倉の崩し方 vol.8】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2017年06月30日
今回のコラムも、矢倉囲いに対して右四間飛車戦法で攻めて行く指し方の続きになります。では第1図です。
【第1図】
前回のコラムを読まれた方は、ここから▲4五歩以外の攻め方を考えていただけましたか? 第1図から、4五以外で歩をぶつけていくとしたら▲3五歩ということになりますが、△同歩と取られると、△3六歩の突き出しが残ってしまいます。歩をぶつけていくことは基本ですが、すべてのケースにおいて歩をぶつけて攻めていくというわけではもちろんありません。
第1図からの攻め方は、▲2五桂(第2図)と銀取りに跳ね出す手になります。
【第2図は▲2五桂まで】
このままでは銀桂交換になってしまいますので、△2四銀と逃げてきますが、そこで▲4五歩(第3図)と突く手がものすごく厳しい一着となります。
【第3図は▲4五歩まで】
第3図をよく見ていただくとわかりますが、△4五同歩と取ると、▲2二角成と玉を取って、ハイ、それまでよ。ということになります。なので、この歩は取れませんが、△5三角と上がっても、▲4四歩△同角▲同角△同金▲同飛で、後手の数が足りず金得になります。かといって、放置しておくのは、▲4四歩△5三金に▲4三歩成(第4図)でこれも後手陣は崩壊します。
【第4図は▲4三歩成まで】
第4図から、△4三同金寄は角筋を止めている4四の歩が消えていますので、▲2二角成で終了ですよね。かといって、△3一玉と逃げても、▲5三と△同角▲4一金までですし、こうなってはもうどうすることもできません。
角筋を連動させた攻め方は、これまでご紹介いたしました美濃囲いや穴熊囲いでも出てきましたが、矢倉囲いに対しても破壊力抜群なことがわかっていただけると思います。
では、第3図から、玉を角筋から逃がす△1二玉は? これもまずは、▲4四歩△5三金と歩を取りながら大きな取り込みが手順に入ります。そこで▲4五銀と進軍し、▲3四銀~▲4三歩成の攻めを狙っても後手は困っています。もちろん、これでも十分すぎるほどの局面ですが、△5三金の局面では、なんとそこから五手で終局させてしまう手があります。その局面を盤に並べてしばらく考えてみてください。それでは、おわかりいただけましたか? まずは▲4三歩成とします。事前に後手玉に逃げられているから、△同金寄で意味がないじゃない、と思われた方もいるでしょう。しかし、そこで▲同飛成!と切り飛ばして△同金に▲2二金(第5図)と打ってみると後手玉は詰んでいますね。
【第5図は▲2二金まで】
このように▲2五桂と跳ねて、角筋をガードしている3三の銀を移動させてから、▲4五歩と突いていくのが右四間飛車の非常に厳しい攻め方となります。
では、次回のコラムでは、第2図から後手がコビンを開けないように、△2四銀と逃げなかった場合の攻め方を見ていきましょう。
矢倉の崩し方


監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。