石田流なら、穴熊も怖くない?しっかり囲い「飛角銀桂」で攻める!【はじめての戦法入門-第9回】

石田流なら、穴熊も怖くない?しっかり囲い「飛角銀桂」で攻める!【はじめての戦法入門-第9回】

ライター: 高野秀行六段  更新: 2017年03月03日

皆さん、こんにちは。高野秀行です。
前回から人気抜群の戦法「石田流」編となりましたが、組み上がるまでの注意点を覚えていますか?

4手目
「△8四歩には▲7八飛、△4二玉には▲6六歩」

重要なポイントが4手目に潜んでいました。「石田流」を指すうえでの第一関門ですので、復習してください。 さて今回は「石田流」を組み上げる手順、そして仕掛け方をご覧いただきたいと思います。まずは第1図をご覧ください。

【第1図は▲7六飛まで】

前回の第5図と同一局面。この局面を基本図とし、第1図とします。

前回の第5図、飛車を▲7六飛と浮き、玉の囲いに移ろうかという局面です。これを基本図=第1図とし、今回はここからスタートです。

【第2図は▲1六歩まで】

美濃囲いをしっかり作ります。▲1六歩も忘れずに。

第1図からの指し手
△5四歩▲3九玉△5三銀▲5八金左 △3三角▲9六歩△2二玉▲2八玉 △5二金右▲1六歩(第2図)

石田流に対して、居飛車の対策は多岐にわたるのですが、やはり気になるのが、とっても堅い穴熊。しかし、石田流にとって穴熊はちっとも怖くありません。まずは自身の囲いをしっかり作りましょう。手順中、▲2八玉と▲1六歩を省いて、早く攻めの形を作ることも有力ですが、囲いは将来への"投資"です。「端は心の余裕」という真部一男九段の名言通り、美濃囲いに▲1六歩と突いて、第2図となります。

【第3図は▲6七銀まで】

7六飛+7七桂+9七角+6七銀。これで「石田流」が組み上がりました。

第2図からの指し手
△1二香▲7七桂△1一玉▲9七角 △2二銀▲6八銀△3一金▲6七銀 (第3図)

居飛車が穴熊に囲っている間に、「石田流」を組み上げます。▲7七桂と跳ね、▲9七角と端に角をのぞき、▲6八銀~▲6七銀と銀を中央に活用します。この形が石田流の基本形です。

【参考1図は▲9六歩まで】

7六飛と浮いているので、端攻めは怖くありません。

角が端に出ると、端攻めが怖いようですが、7六に飛車がいるため、△3一金で△9四歩▲6七銀△9五歩としても▲同歩△同香▲9六歩(参考1図)で簡単に受かります。これが石田流の特徴で、強みでもあります。第3図から居飛車は穴熊の囲いを強化しますが...。

【第4図は▲8五同桂まで】

歩の交換から▲7五飛と一つ引いて、▲8五飛が石田流のさばき方。桂跳ねの感触がとてもいいのです。

第3図からの指し手
△4二金寄▲7四歩△同歩▲同飛 △7三歩▲7五飛△6四銀▲8五飛 △同飛 ▲同桂 (第4図)

△4二金寄には▲7四歩から歩を交換します。△7三歩に▲7五飛と一つ引くのが、「石田流」特有の手筋。▲8五飛△同飛▲同桂と大きくさばくのが狙い筋となります。7七桂と跳ねている形を活かす手順です。堅い居飛車穴熊ですが、石田流は桂が8五まで来ているので、▲8二飛から桂、香を取れれば、自然と駒得になり、十分にバランスが取れるのです。

【参考2図は▲6五桂まで】

歩の交換から▲7六飛も有力。▲5三角成?▲6五桂は大胆に攻めます。

またもっと攻めたいという方には、▲7五飛で▲7六飛がお薦め。以下△9六歩に▲5三角成△同金▲6五桂(参考2図)と角を切って攻め込みます。△6四金▲7三桂成△8四飛▲6二成桂と進みますが、駒損ながら居飛車は歩切れで次の▲7一飛成を防ぎにくい格好です。この攻め筋も覚えてください。

▲7四歩からの歩の交換が実現すると、振り飛車に手段が多く生じます。居飛車はそれを防ぎます。第3図に戻りましょう。

【第5図は▲7三歩成まで】

銀損ながら、7筋を破ることに成功します。

第3図からの指し手
△8四飛▲5六銀△4四歩▲6五銀 △6四歩▲7四歩△6五歩▲7三歩成 (第5図)

△8四飛と▲7四歩からの歩の交換を阻止してきました。ここで▲5六銀と銀の登場です。△4二金寄なら▲4五銀と出ます。△5五歩に▲7四歩△同歩▲3四銀と切り込む手があります。そこで△4四歩と受けますが、今度は▲6五銀と出ます。

【参考3図は▲6五桂まで】

第5図から▲7四と、と引くのがポイントです。▲6五桂で全軍躍動。以下△4二銀▲6四との要領で攻めていきます。

△6四歩に構わず▲7四歩。△6五歩▲7三歩成で銀損ながら、次に▲7四と~▲6五桂(参考3図)という攻め筋があり、すぐに駒損は回復できます。

攻めは「飛角銀桂」といいますが、まさに「石田流」はピッタリと当てはまる作戦で、その破壊力はご覧の通りです。

では今回のおさらいです。

  1. (1) まずは自身の囲い。しっかり美濃囲いを作りましょう!「心の余裕」も忘れずに。
  2. (2) ▲7四歩の交換から、▲7五飛と一つ引くのが、「石田流」特有の手筋。
  3. (3) △8四飛と浮いてきたら、▲5六銀と銀の出番。「飛角銀桂」の攻めで全軍躍動!

最後に駒組みの手順について補足を。居飛車は△8四飛と浮かずに駒組みを進めると、常に▲7四歩からの交換は振り飛車の権利となります。第3図で△4二金寄とした手順を見ても分かるように、大きなポイントですが、まずは美濃囲い⇒7七桂+9七角+6七銀までを組み上げてから、判断することをお薦めします。基本の形をまずはしっかり押さえましょう。

「石田流」に穴熊はむしろ歓迎すべき作戦。どんどん攻めて、攻略しましょう!次回は、石田流に対して居飛車が速攻で仕掛けてきた場合の対処について解説します。

はじめての戦法入門

高野秀行六段

ライター高野秀行六段

1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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